中国・習近平政権、やはり「実はかなり脆弱」か 元軍人多数が北京市内でリストラへの抗議

複数の日本メディアなどによると、北京市中心部の中国国防相前で11日、迷彩服姿の約1000人が、軍の人員削減に対する抗議活動を行った。

 

国防省前で迷彩服の1000人デモ 軍改革に不満か>(毎日新聞社:2016年10月12日付)

 

 

元軍人らに不満が高まっていることを事実としても、中国では「権力の座」にある者が関与しない限り、多人数を動員する「権力への抗議活動」が発生することは考えにくい。

発端は、抗日戦争や全世界の反ファシズム戦争の勝利70周年を記念するとして、2015年9月3日に北京市内で実施した大規模な軍事パレードの際に、習近平国家主席が、30万人の兵力削減をすると宣言したことだった。

同宣言には、大規模な軍事パレードの実施により、中国の軍事大国化を懸念する声を緩和すると同時に、不要な人員を減らして人件費を削減し、装備の最新化を加速する狙いがあると見られた。

兵力の削減で、大きな問題となるのは、「リストラされた軍人」の転職問題だ。中国では主に、地方政府や関連組織が、定年退職前に軍籍を離脱した軍人を受け入れることになっている。

ところが、同問題の解決のために16年6月に第1回会合が行われた軍隊転業幹部安置工作会議では、習近平主席の受け入れ側の職場に対する「いかなる理由があっても、軍人を幹部として受け入れることを拒絶することは許さない」との言葉が発表された。

習主席の強い調子の言葉がわざわざ発表されたことからしても、元軍人の再就職問題の難航していることが、かなり明確に分かる。

11日の、元軍人らによるとみられる抗議活動はその意味で、突発的なものではない。しかしさらに大きな問題は、現政権に表だって抗議する活動が発生したことだ。

現在の中国で、1000人もの人が参加する権力への抗議活動が、「草の根運動」として発生することはまれだ。習政権とは異なる立場の「権力の座にある」者が、何らかの形で関与していたと考える方が自然だ。つまり、中国の権力上層部では、習近平主席に対抗する勢力が根強い抵抗を続けていると類推できる。

習政権が国内政治で、腐敗撲滅などの強硬策を推進しているのは、「恐怖により幹部を締め付けないと、幹部を従わせることはできない。民衆の離反も制御不能になる」との危機感が根底にあると考えてよい。

南シナ海における強硬策も、それに近い構図だ。南シナ海における領有と諸権利の問題は、対立するベトナムやフィリピンが積極的に動きはじめたことがきっかけで、中国が動き始めたわけではない。

どちらかと言えば、それ以前に問題になっていた尖閣諸島などを巡る日本との対立で、同問題について日本との対立をあからさまに激化させたのでは、自国にとって不利と判断し、かと言って国内的に「軟弱外交」のレッテルを貼られたのでは、国内での政権に対する批判が噴出する可能性が高いので、南シナ海での行動を強化したと解釈できる。

事実、中国国内でのインターネットなどでの意見表明を見ても、胡錦濤政権時に比べれば、政権側を「軟弱外交」と批判する声は、減ってきたように見える。

上記を総合すれば、習政権の国内外における「強硬策」は逆に、自らの政権基盤が脆弱であるとの、切実な認識により導きだされたと判断できる。(編集担当:如月隼人)

 

【関連】
中国の兵員削減が難航か 習近平主席「退役軍人を割り当てられた職場の拒否は認めない」
中国政権に改めて異変の兆候 全国規模の水害対策でも習近平主席の存在感、李克強首相の影薄く