北京で食事の際の「取り箸の使用」を義務化…衛生向上が目的も市民には抵抗感

中国では大皿の料理を取り分ける「取り箸」を使う習慣がなかった

北京市で1日、「北京市文明行為促進条例」が施行された。同条例の主眼の一つが公衆衛生状態の向上で、食事の際の「取り箸」の使用も盛り込まれている。しかし北京青年報の10日付の記事によると、人々の抵抗感は大きいようだ。

中国では複数人で食事をする場合、大皿で料理を出して各自が取り分けて食べるのが普通だ。日本のように「取り箸」を使う習慣は本来なく、「自分の箸で大皿の料理の美味しそうな部分を他人の小皿に取り分ける」ことは、親愛感を示す行為とされてきた。

かなり早い時期から、このような料理の食べ方は非衛生的であり、病原体に感染するリスクを高めるとして「取り箸」の使用が奨励されてきた。しかし庶民の間では「取り箸」がなかなか定着しないのが実情であるようだ。北京市、上海市、広州市(広東省)など多くの都市では最近になり改めて、料理を先に飲食者各自の皿に取り分けて供することや、大皿で出す場合にも「取り箸」を用いることを求める動きが活発化した。

北京市で1日に施行された「北京市文明行為促進条例」も「取り箸」の使用の順守を盛り込んだが、北京青年報によると市民の抵抗感は強いという。同紙が北京市内の飲食店30軒を取材したところ、老舗飲食店やチェーン店はいずれも、個人用の箸よりも長い「取り箸」を用意して使用を呼び掛けている。複数の客に対して大皿ではなく、店側が料理を取り分けて供している店もあったという。

しかし客の行動を観察すると、「取り箸」を使わずに大皿の料理を自分の小皿に移す場合が多かった。考え方を聞いたところ「家庭では自分の箸で大皿の料理を取ることが普通」「友人と食事をする場合に『取り箸』を使ったらよそよそしい感じになる」「年配の人だったら抵抗感が(特に)大きいだろう」「面倒すぎる」といった説明が返ってきたという。

北京青年報は、胃潰瘍や胃がんを誘発するとされるピロリ菌の感染率が、先進国では30%以下であるのに対し、中国では40%-60%に達すると指摘し、中国人の食事の習慣が関係している可能性があると論じた。