台湾・国民党洪秀柱党首が訪中、共産党・習総書記と会談 馬英九前総統が懸念するほどの「対中親和」派

台湾の国民党・洪秀柱主席が10月30日から中国を訪問する。11月1日には中国共産党の習近平総書記(国家主席)との会談する報じられた。洪主席は、馬英九前総統(前国民党主席)も懸念するほど、中国の言い分を受け入れる政治姿勢を示している。

蔡英文・民進党政権が成立した現在、中台の最大のネックになっているのが「九二共識(92合意)」だ。同合意は、中台双方の代表が1992年に香港で協議した際、双方が「1つの中国」を認めることで一致したとされるものだ。

ただし、国民党関係者が同合意について初めて言及したのが2000年5月の、民進党の陳水扁総統の就任直前と、民進党政権の対中政策を強く牽制する形だったことで、合意の存在を疑問視する声が大きい。

1992年に在任していた李登輝元総統や、台湾の政権内部で対中政策について責任ある立場だった多くの人が、同合意は「存在しない」と主張している。

馬英九前総統は、同合意を前提として対中関係の構築を進めた。しかし馬英九総統らは、「九二共識」で中台双方は「『1つの中国』と同時に、『それぞれが、中国の正統政府を代表する』と主張していることを認めた」との立場だ。

つまり、「1つの中国」であるとの認識を持つが、台湾側は「中華人民共和国が中国の正統政府とは認めていない」との立場だ。この認識は、「中国が主張する方式そのままで、台湾(=中華民国)が中国の一部になり統一されることは考えていない」と主張していることになる。

一方の中国は「九二共識」の内容について、「1つの中国」の部分だけを取り上げている。中華民国(=台湾)側の主体性については、口を閉ざしたままだ。

馬前総統は、中台統一を「ゴール」としながらも、中華民国が中華人民共和国に安直に「飲み込まれる」事態だけには、歯止めを打つ気持ちが強かったと考えられる。

しかし洪主席は9月23日の国民党党大会で、自らがまとめた中国大陸との「和平政綱」を通過させた。同綱領は「九二共識」について、これまで馬前総統らが強調「それぞれが、中国の正統政府を代表する」との文言は盛り込まなかった。

馬前総統を含め、国民党の新しい「和平政綱」に対して強い懸念の声が出ている。しかし洪主席は、「正統政府についての立場」にこだわって、統一に向けての歩みを躊躇(ちゅうちょ)してはならないと主張している。

洪主席は馬前総統以上に、中国にとって好ましい存在だ。11月1日の会談は、あくまでも国共両党のトップの話し合いであり、洪主席も「台湾代表」として臨むわけではない。中国側もそのことは、よく認識しているはずだ。

ただし、会談における合意事項が発表され、その内容があまりにも、「中国側への歩み寄り」に満ちていると、台湾人が思った場合、現在でも苦境にある国民党の凋落がさらに加速する可能性も否定できない。(編集担当:如月隼人)

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