中国人の仕事に「気合いが入っているなあ!」と感心したこと

北京で生活していた時期に、日本の会社から臨時の原稿を依頼されたことがあります。まだメールなどがなかった時代で、まずは先方の担当者から「引き受けてもらえるか。もらえるようならば、関連資料を郵送する」との連絡。こちらは「お受けします。資料をお願いします」と返信。

まあ、のんびりした時代でしたが、北京と東京ですから、EMSという特急便を使えば、朝に郵送すれば、翌日の午後には到着します。

日本から中国への「急ぎの郵便物」で利用されるEMS

ということで、資料を待っていたのですが、到着しない。「おかしいなあ。企画がボツになったらなったで、きちんと連絡してくるはずだけどなあ。Iさん(担当者名)は、依頼だけしておいて、ほったらかすような人じゃないはずだけどなあ……」と思っていました。

ところが、3週間ぐらいしてから資料が到着。中を開けて確認すると、締め切りは過ぎている。「しかしEMSで出したのに、どうしてこんなに遅れたのか」と不思議に思いました。封筒に貼っている差出状を見て、事情が判明。

届け先国に「CHINA」と書いているのはよいとして、その次からは宛先を「Peking-shi Saijou-ku Shinbunkagai……」と、最後まで日本語をローマ字で書いていたんですよ。「北京市西城区……」と漢字で書けば問題なく届いたはずなのに。

中国郵便のシンボルマーク
中国の郵便事業のシンボルカラーは緑色

ローマ字で書くなら中国語の読み方で「Beijing-shi Xicheng-qu……」と書かねばならない。「Peking-shi Saijou-ku……」と書いたんじゃ、中国人にとってそれこそチンプンカンプンだ。締め切りのこともあるので、急いでIさんに国際電話をかけました。

それにしても、海外絡みの仕事が多く、中国関連の仕事の経験もあるIさんが、どうしてこんなポカをしたと思ったのですが、Iさんによると、忙しかったので宛名書きをアルバイトの人に任せて、その人がそのまま発送してしまったとのこと。

Iさんの名誉のために付け加えますと、「いや。きちんと確認しなかったボクが悪かった。申し訳なかった」と、責任をアルバイトの人に押し付けることはありませんでした。結局は締切を延長してもらい、原稿を提出することができました。

北京市内の郵便局
北京市内の郵便局

かしなあ。考えてみれば逆に、私の手元によく届いたものです。郵便関係に日本語ができる人はあまりいないはずだから、「日本からの郵便物の宛先が不明。中国宛であることは間違いない」と考えて、日本語ができる人を探したんだろうなあ。日本語ができる中国人も「かな書き」ならすぐに判読できるでしょうが、日本語読みのローマ字表記なんかは、日本語学習者でもまずは目にしないからなあ。

もしかしたら、何とか解読してやろうと、分かりそうな人に手当たり次第に尋ねたのかもしれない。時間がかかったことも、そう考えれば納得できますからね。

いずれにしろ、預かった郵便物を「何とか届けてやろう」という執念が伝わってきた一件でした。中国人の仕事のしかたに「気合いが入っているなあ!」と感動しました。