内モンゴルで目撃した、遊牧民の「驚異の予知能力」

チベット仏教の仮面舞劇である「チャム」
チベット仏教の仮面舞劇である「チャム」

内モンゴルのお寺で「チャム」と呼ばれる「仏教の仮面舞劇」を見学したことがあります。

「チャム」という言葉は、モンゴル国では「ツァム」と発音されます。私が見学したのは……ええと、どこのお寺だったかな。ちょっと思い出せない。ても、内モンゴルだったのは確実なので「チャム」としておきます。

それはさておき、演じられるのは本堂の前の中庭ということは聞いていました。私が到着した時には、まだ「ちらほら」でしたけど、すでに座り込んでいる人もいました。ところが、妙に後ろの方に座っている人がいたのです。5、6人だったかな。

内モンゴル自治区ないのチベット仏教寺院(資料)
内モンゴル自治区内のチベット仏教寺院(資料)

一目見て、モンゴル人の牧民と分かる人たち。こういった人は、日焼けが激しくて肌の老化も早いみたいで年齢が分かりにくいのですけど、それでもかなり年配であることは分かりました。

モンゴル遊民の老人(資料)
モンゴル遊民の老人(資料)

人はだんだんと増えてきます。最前列の人は座り込んでいるけど、その後ろの人は座っていたんじゃ前が見えないから立っている。モンゴル人のおじさん(おじいさん?)らの前に立つ人も増えてきた。

「ありゃあ。ずいぶん早くから来ていたのに、あれじゃ踊りが全然見えないだろう」

と、他人事ながら心配してしまいました。

いよいよ開演が迫りました。すると、お堂の中から若い坊さんたちがたくさん出てきて、建物の近くまで集まっていた人々を立ち退かせ始めました。

仮に、街中で集まった人々を立ち退かせるんだったら、警察官とか「城管」なんて呼ばれている職務の人が出てきて罵声を浴びせ、群衆の方も抵抗するでしょうけどね。そこはお寺。集まっているのは信者さんでしょうから坊さんの言うことには素直に従います。

坊さんらは、建物に迫って座り込んだり立っていた人々を中庭の脇の方に左右に移動させかした。

別に混乱はなく、見物客が争うこともありませんでした。私が最初に考えていたよりも、「チャム」を演じるのには広いスペースが必要だったということでした。

チャムの演者。右端の人は仮面を取っている(資料)
チャムの演者。右端の人は仮面を取っている(資料)

で、改めて様子を見ると……

なんと、モンゴル人の牧民のおじさんたちが、見物客の最前列に座っているではありませんか。おじさんたちは全く移動していない。最初から「かぶりつき」になるはずの場所に陣取っていた。

おそらくは、毎年のように来ているから、どこが最前列になるのか熟知していたんだろうなあ。

脱帽