ドミニカが台湾と断交、中国と国交樹立では? 中国政府・報道官「中国はひとつだ!」

中国政府・外交部の12月1日の定例記者会見で、耿爽報道官は「台湾での情報によると、中国はドミニカ共和国と接触しており、国交樹立の可能性を模索しているという。事実かどうか、さらに詳細を教えてもらえるか」との質問に対して、「世界に中国はひとつだ。これは国際社会の共通認識だ」と回答した。

現在の国連加盟国は193カ国に達した。名実ともに「独立国」と言える国だ。バチカン市国とパレスチナは国連加盟国ではないが、国連のオブザーバーの地位を持つ。また、中華民国(台湾)を含む11カ国は、承認する国が少なく、国連にも加盟できない状態だ。

台湾を「国家」として承認する国は22カ国。うち12カ国が中南米の国だ。

中国は、台湾で5月に発足した蔡英文政権が「ひとつの中国」を盛り込んだ「九二共識(92年コンセンサス)」を承認していないとして、同政権に対して極めて厳しい姿勢で臨んでいる(「九二共識」については、発表の経緯が極めて不自然などとして、「でっちあげ説」が根強い)。

中国・習近平政権のこれまでの言動を見ると、「あらゆる手段を駆使して、蔡英文政権を窮地に陥れる」ことを目指していることは明らかだ。

ドミニカが台湾と断交して、中国と国交を樹立しても、台湾にとって経済面などでの「実害」はさほど大きくない。しかし、ただでさえ極めて少ない「台湾承認国」がまた1つ少なくなれば、台湾で蔡英文政権に対する不安感が増大するのは確実だ。

1日の記者会見については、別の不自然な点もある。中国がこのところ、ドミニカへの接近に力を入れてきたことは事実で、外交部も公式サイトで、「ドミニカ理工大学で(中国から派遣された)新任の中国語教師の歓迎会」(11月3日付)、「駐ドミニカ(中国)商務代表が2016年ドミニカ‐中華人民共和国貿易展覧会に出席」(同月29日付)など、両国の接近を誇示する話題を掲載している。

しかし今のところ、台湾メディアが中国とドミニカの接近を神経質に報道している状況はない。

中国政府が主催する記者会見では時おり、中国あるいは中国系メディアが「政府の意向に沿う質問をした」と想像できる場合がある。記者会見を宣伝の場として最大限に利用したいという、当局側の思惑が見え隠れするわけだ。

台湾でそれほどまでには注目されていない話題についての質問があったことで、ドミニカの台湾との断交の可能性が、あらためて紹介されることになったと言える。

ただし、同質問があった以上、中国・ドミニカの外交関係樹立が実現しなければ、記者会見で同質問があったことが逆に「オオカミ少年」の効果をもたらす可能性もある。つまり、中国当局はドミニカとの関係樹立に、一定以上の自信を持っている状況と判断できる。(編集担当:如月隼人)

 

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Posted by 如月隼人