トランプ・蔡英文が電話会談、中国は台湾を非難 時間かけて対応検討か

中国でメディアは4日午後の遅い時間帯から、米国のトランプ次期大統領と台湾の蔡英文総統が2日に電話会談について台湾を非難する論調の記事を発表し始めた。同件は日本や香港では3日早朝に報じられていた。中国では共産党上層部が対応を検討していたため、結論が出るまでメディアの報道を差し止めていた可能性が高い。

中国政府・外交部は3日夜になり、耿爽報道官が「記者からの質問に回答した」との形式で「米国の関連方面に厳重に抗議した」などと発表した。耿報道官は「世界に中国はただひとつであり、台湾は中国領の切り離せない一部分だ。中華人民共和国政府は中国を代表する唯一の合法的政府だ。これは国際社会が公認している事実だ。ひとつの中国は中米関係の政治の基礎だ」などと論じた。

中国側は米国に「ひとつの中国という政策を遵守」することを促し、台湾問題で「中米関係が不必要な障害を受けないよう」求めたという。

新華社は3日午後7時15分ごろ、同件についての王毅外交部長(外相)の談話を報じた。王外相はまず、「台湾側がひとつの小細工をしただけだ。国際社会ですでに形成されている『ひとつの中国』という仕組みを変えることは、土台、不可能だ」と述べたという。

王外相はその上で、「私は、米国政府が長年にわたり維持してきた、ひとつの中国の制作を変えることはないと考えている。ひとつの中国の原則は中米関係を健全に発展させる基礎であり、われわれはこの政治的基礎が、いかなる妨害や破壊を受けることも望んでいない」とも述べた。

耿報道官は、米国側に「厳重に抗議した」とは述べたが、状況説明部分で米国を非難しているわけでなく、台湾問題についてこれまでの「政治的合意」を遵守するよう、米国に「促した」にとどめた。王外相は、台湾側を「小細工」などの言葉を使って非難したが、米国批判はしなかった。

いずれも、米国で次期政権を担うトランプ氏とその周辺を不必要に刺激しないよう、一言一句まで計算された発言だったと考えてよい。

人民日報系ニュースサイトの人民網は4日午前6時を過ぎてから、中国政府における台湾側との交渉組織である国務院台湾事務弁公室の安峰山報道官が3日時点で、王外相と同様に「小細工」などの言葉を使って台湾を批判する談話を発表したと報じた。

中国側の報道が遅くなった理由としては、共産党上層部で対応方針を決めるのに時間がかかり、報道を差し止めていたと考えることができる。さらに、耿報道官の「米国の関連方面に厳重に抗議した」と説明していることからは、米国側に比較的早いタイミングで「中国としての抗議」を伝えたが、トランプ氏は本人がSNSで唐突に意思表明をすることが多いことから、抗議を受けてからのトランプ氏側の反応も、しばらく時間をかけて見極める必要があると判断した可能性がある。

中国で、新華社や人民日報など最も権威ある媒体を含め、トランプ氏と蔡英文総統の電話会談を、それほど多く扱っていない。4日付人民日報は、電話会談に対する外交部の耿報道官の説明を3面の中段で紹介した。450文字強の記事で、同面トップ記事(ドイツでG20の副財務省と中央銀副総裁の会議が開催)が2000文字以上を費やしたことと比べると、かなり小さな扱いだ。

しかも、「電話会談に対する抗議」の記事の隣には、大きな写真を使った別記事(エジプト・カイロで甘粛文化ウイークが始まる)を配した。人民日報の紙面にも、「中国はトランプ・蔡英文の電話会談を、今のところはそれほど重視していない」との意図が込められていると理解できる。

日本では、例えば朝日新聞は1面で大きく扱い、3面にも関連記事を掲載した。読売新聞は1、3、7面に掲載した。トランプ氏と台湾の蔡英文総統の接触は、米中関係、中台関係の根底を動かしかねない事態であるはずだ。新聞が紙面を多く割いて、当然だ。それをしない中国のメディアの方が、むしろ相当に「不自然」だ。(編集担当:如月隼人)

 

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Posted by 如月隼人