トランプ米次期大統領、「ひとつの中国政策」を疑問視、中国政府は遠慮しつつ強い懸念

トランプ次期米大統領は11日放送のテレビ番組で、「台湾は中国の不可分の一部」とする「ひとつの中国」政策を、米国政府として維持するかどうかは、中国の貿易や外国政策次第になると表明した。中国政府は強い懸念を示しつつも、トランプ氏への批判/非難は抑制する対応を示した。

トランプ氏は米フォックステレビのインタビューで「貿易などで合意できないなら、なぜ『ひとつの中国』に縛られなければならないのか」と述べた。

中国政府・外交部の耿爽報道官は12日の記者会見で、トランプ氏の同発言について強い懸念を表明した。しかし、批判/非難は抑制する対応だった。中国としてもトランプ氏の真意を測りかねて「遠慮」している可能性がある。同問題についての耿報道官の発言は、以下の通り。

――中国側は関連する報道に注目しており、ここに重大な関心を表明する。私が強調したいのは、台湾問題は中国の主権と領土の完全性にかかわり、中国側の核心的利益に及ぶということだ。ひとつの中国の原則を堅持することは中米関係の政治の基盤だ。もしこの基盤に支障が生じたり破壊されたら、中米関係の健全な発展と両国の重要な分野における協力は論外ということになる。

われわれは米国の次期政権と指導者に対して、台湾問題が高度に敏感であることを十分に理解し、ひとつの中国と中米間の3つのコミュニケの原則を堅持し、台湾関連の問題を慎重かつ妥当に処理するよう促す。中米関係の大局に深刻な支障と損害が生じないためにだ――

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◆解説◆
トランプ氏のこのところの台湾問題に関連する言動について、中国当局としては「困惑」の一語に尽きるのではないか。

台湾問題での妥協は、国内世論を考えても不可能だ。1990年代ごろまでなら、仮に米国が「ひとつの中国」の原則から離脱した場合、経済的には大打撃になるとしても、米国との経済関係が冷え込むことを覚悟で、全面対峙の方針を選択することは可能だったかもしれない。

しかし、米中の経済関係がここまで密接になり、しかも中国経済の成長鈍化が「常態化」した現在となって、米国が「中国の核心的利益」に反する行動に出ても、対抗策を打ち出すことは難しい。自らの経済を悪化させたのでは、中国国内で政権に対する不満が“爆発”する可能性も否定できないからだ。

かと言って、トランプ氏に「言いたい放題、やりたい放題」にさせていても、自国内で政権に対する批判が高まる可能性がある。

中国当局としては、トランプ氏の真意を探りつつ、経済問題についての“落としどころ”を調整するほか、なさそうだ。

仮に、トランプ氏がそこまで計算して台湾問題についての言動を選択しているならば「見事な交渉者」としか言うほかないが、それについてもよく分からない面が多い。(編集担当:如月隼人)

 

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