中国軍機が「台湾の山」背景に飛行する写真発表、元南京軍区副指令官「近い将来、台湾上空飛行する」

中国空軍は16日午後9時8分、微博(ウェイボー、中国版ツイッタ)の公式アカウントで「週末に、大変有意義な写真を共有しよう!」とのメッセージとともに、自軍のH-6爆撃機(轟炸-6)が、台湾の高山を背景に飛行中と思われる写真を掲載した。一方、元南京軍区副司令官の王洪光中将は、中国軍機が近い将来、台湾上空を飛行するだろうと述べた。

台湾・国防部は、中国空軍が発表した写真の背景が、台湾の山だとの見方に「憶測だ。噂を広めるような形で外部に見解を表明することはしない」とコメントしたが、中国や台湾のメディアは過去に撮影された写真と比較して、H-6爆撃機の背景に3つの峰は台湾最南部の屏東県にある北大武山(標高3092メートル)、南大武山(同2829メートル)、霧頭山(同2736メートル)の山頂部分との見方を示した。

最近の記録として、中国軍機が台湾に接近したことは2度ある。11月25日には、H-6が2機と情報収集機に改造したロシア製旅客機のTu-154が1機、Y-8(情報収集機1機が台湾南のバシー海峡を東進して太平洋側に抜け、北上してから西進して宮古海峡を抜けて中国大陸に戻った。

この時には、戦闘機Suー30が2機、中国大陸から南東に飛んで宮古海峡を抜け、台湾東側南方から来た爆撃機や情報収集機を迎え、中国本土まで引き返した。

12月5日の中国軍機の飛行では、Suー30が2機、H-6が1機、Tu-154が1機、Y-8が1機からなる編隊が宮古海峡を抜け、うちSuー30が宮古海峡を抜けたところで引き返し、残りの爆撃機と情報収集機が台湾東側を南下してから中国大陸に戻った。

11月25日の飛行でも、12月10日の飛行でも、自衛隊は戦闘機を発進して警戒にあたった。中国軍の12月の飛行では、中国側が、自衛隊機が妨害弾を発射したと表明したことに対して、菅官房長官が、「事実と異なることを一方的に発表した」と表明し、日本政府として中国に抗議した。

しかし一連の動きを見る限り、中国の最大の狙いは台湾牽制、あるいは台湾における蔡英文政権の支持失墜だ。

おりしも元南京軍区副司令官の王洪光中将は17日、中国軍機が近い将来に、台湾上空を飛行して横断することがあるだろうと述べ「しばらく前にも、数歩前進したと言える」と発言した。さらに、現在は台湾軍と中国軍は、台湾海峡上の中間線を越えて活動することを控えているが、「双方に合意があるわけえはない。暗黙の了解があっただけだ」と論じて、中国軍機は台湾の防空識別空域内に進入すべきだとの考えを示した。

なお、中国空軍が16日に発表した写真は、背景の北大武山がH-6の右側に写っていることから、編隊が台湾東を南下する際に撮影したと考えられる。とすれば、宮古海峡を東に抜けて南下した12月10日の撮影であった可能性が高い。
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◆解説◆
中国は、台湾に対して「ひとつの中国」の内容を盛り込んだ92共識(92合意、92コンセンサス)を認めることが、双方の健全な関係を構築する基礎と主張していている。

92共識については、公に知られるようになった経緯があまりにも不自然なことがあり、台湾では「でっちあげ」の声も強い。蔡英文総統はかつて92共識の存在を否定した。ただし、16年1月の総統選以降は92共識そのものについての論評は控え、「1992年に中台双方の歴史的話し合いがあったことは事実」と論評するにとどめている。

中国は現在、「中台独立に歯向かう主敵」を民進党と認識しているように見える。民進党は確かに、台湾の独自性を政治信念の土台としているだけに、中国にとっては極めてやっかいな存在だ。

ただし中国の立場で考えるとして、最終の目標として目指す中台統一にとって最大の障害になるのは、「中国と一緒になることは考えられない」という台湾人の総意であるはずだ。台湾に対する威嚇を続ける現状は、台湾の民意を引き寄せることになるとは、到底思えない。

中国における、台湾報道については、もうひとつ不思議なことがある。蔡英文政権あるいは台湾独立に対する反対の動きを集中的に取り上げ、中国に反発する動きを無視することだ。中国では厳しい言論統制があるので、中国当局の意向に沿った報道と考えることができる。

中国おけるこのような報道は、自国の民意を「ミスリード」していると言わざるをえない。結果として民衆レベルの意識における中台問題を、不必要に複雑にしていることになる。

このような台湾報道は、長期的に見れば中国当局にとって、「面倒」をさらに増大させる。しかしそれでも「台湾における独立派は異端」と強弁せざるをえないところに中国当局の、建前は現実化しつつあると言い続けねば、政権維持に支障をきたす脆弱さを感じることができる。(編集担当:如月隼人)