台湾:国民党 混迷の度合い増す 副主席が辞任、「不当党資産問題」巡り洪主席に不信感か

台湾で国民党の詹啟賢首席副主席(副党首)が7日夜、辞任を表明した。台湾では国民党の党資産の多くは戦後の混乱期に同党が不正に取得したものとして2016年の蔡英文政権発足以来、資産凍結などが続いている。詹副主席は行政側と交渉を行っていたが、洪秀柱主席が合意事項を拒否するなどしていた。

国民党は戦後の混乱期、日本から接収した財産や中国大陸から持ち込んだ国家に属する財産の多くを自らのものにした。1950年代から批判の声が出ていたが、当時は国民党が独裁・恐怖政治を行っていたので、問題を追及することはできなかった。

国民党の私有財産問題に最初に本格的に着手したのは李登輝総統で、同党主席だった1999年に国民党財産の問題を信託し改革するとして「党資産処理チーム」を組織した。しかし2000年に連戦主席が就任すると、同チームは活動を停止した。

2000年に発足した民進党・陳水扁も同問題の追及を図ったが、立法院(国会)で国民党の議席の方が多かったため、事態の進展はなかった。08年発足の馬英九政権は同問題に手を付けなかった。

16年1月、民進党は総統選に勝利しただけでなく、同時に実施された国会選挙でも多数派になった。その結果、5月に発足した蔡英文政権の下で7月25日には「不当な党財産処理条例」が国会を通過した。同条例は政党の正当な資産を「民国34年(1945年)8月15日以降は、政党の財産と認められるのは党員から集めた党費、政治献金、政党補助金およびそれらから生み出された利潤」と定めている。

さらに、正当な資産であることを証明できない党資産は「不当党産(不当党資産)」とみなされ、凍結されることになった。そのため、国民党資産の多くが凍結され、9月には党職員に対する給与の支払いができなくなるなど、同党は大打撃を受けることになった。

政府部門として同問題を扱っているのは8月31日付で発足した「不当党産処理委員会(党産会)」だ。国民党の詹副主席は党産会トップの顧立雄主任委員と協議を繰り返し、「行政契約」と名付けられた国民党の党資産問題についての妥協案で合意した。

しかし、洪主席は同案協定書への署名を拒否。さらにメディアに対して、同案を「詹啟賢副主席以外に、賛成している人はいない」などと厳しく批判した。

一方の詹副主席は、「洪主席が署名をしないというなら、署名をしないよう勧めた人が結果についての責任を負うべきだ」、「ところが、すべての責任を私に押しつける」などと反発していた。

洪主席は7日午前、詹副主席との問題について取材を受け、辞任問題を「デマ」とした上で、詹副主席は非常に大切なパートナーであり、メディアについて自分と詹副主席の仲を引き離したり、悪意ある中傷で分裂させようとしているとして「非常によくないこと」と非難した。

詹副主席は同日午後7時になり国営の中央通訊社を通じて「昨年夏に政党政治についての信念にもとづき、洪秀柱党首席の要請を受けて国民党の首席副主席に就任しました。在任期間、心と力のかぎり、党主席を補佐する党務に尽くしてきました」、「段階的な任務は達成できたため、首席副主席の職から離れることを決定しました」とのメッセージを発表した。

国民党政策会の蔡正元執行長は詹副主席の辞任について、洪主席と詹副主席は7日午後に1時間あまり話し合ったと説明。詹副主席の辞任の意思は固かったが、洪主席は懸命に慰留し、数日考えてから結論を出してほしいと要請したという。

蔡執行長は詹副主席について、「積極的に物事に取り組み、しっかりとしたやり方で、責任を負う勇気もあった。投資産問題だけでなく、(財政危機にある国民党への)寄付の募集や平和政策綱領づきり、地方党支部の幹部の直接選挙問題など、すべてが彼の肩にかかっていた。本当に尊敬に値することだった」と評した。(編集担当:如月隼人)

 

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