予想以上に速かった宇宙の膨張 国際研究チームが重力レンズ現象を利用して結論得る

ハッブル望遠鏡は26日、宇宙レンズと呼ばれる現象を利用して遠ざかる天体の速度を観測した結果、一部で従来の予想よりも速い結果を得たと発表した。ビッグバンから現在に至る宇宙の膨張速度が書き換えられる可能性がある。
 

20世紀前半に、米国人天文学者であるエドウィン・ハッブルらが銀河系の外にも銀河が存在することや、われわれの銀河と他の銀河は、その距離に比例する速度で遠ざかっていること、つまり遠くんある銀河ほど速い速度でわれわれの銀河から遠ざかっていることをつきとめた。

距離と速度の関係を示す比例定数はハッブル定数と呼ばれる。ハッブル定数は宇宙が膨張する速度を示す定数ということになる。また、宇宙が膨張していることから、宇宙の始まりは「爆発」だったとの考えが出た。いわゆるビッグバンだ。ビッグバンは今から138億年前と考えられている。プランク定数の精密な確定は、ビックバンの時期推定にも大きくかかわってくる可能性がある。

ハッブル望遠鏡によれば、国際研究チーム「HOLiCOW(ホリー・カウ)」がハッブル望遠鏡やハワイのすばる望遠鏡などを用いて強い重力レンズ効果を起こしている5つの銀河を観測して、ハッブル定数とは従来とは異なる方法で調べた。

重力レンズとは、重力によって光の通り道がゆがめられる現象を指す。ホリー・カウは対象とした5つの銀河のさらに遠くにあり強烈な光を明滅させているクェーサーと呼ばれる天体に着目した。クェーサーから出た光は手前の銀河による重力でゆがめられて地球に達する。そのため、最初はやや異なる方向に出発した光が異なる光路をたどってどちらも地球に到着する場合がある(重力レンズの名の由来)。

光路が異なれば光が通った距離も違ってくる。クェーサーは周期的に明滅しており、ホリー・カウは光路による明滅のタイミングのずれを正確に測定することで、高い精度でハッブル定数を確認することができたとした。ホリー・カウを率いるSherry Suyu(蘇游瑄)氏は、「高い精度を持つ異なる方法で宇宙の膨張率を測ろうとする取り組みが始まっている」、「現在におけるわれわれの宇宙に対する理解を超える新しい物理がこの矛盾から示される可能性がある」などと述べた。

蘇游瑄氏は台湾の中央研究院天文及天文物理研究所の助研究員などを経て、現在はドイツのマックス・プランク物理学研究所に所属している。

写真は重力レンズ現象により、1点でないように見えるクェーサー。<(C)ESA/Hubble, NASA, Suyu et al.>(編集担当:如月隼人)

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【外部リンク】
宇宙のレンズが裏付ける予想より速い宇宙の膨張
Cosmic lenses support finding on faster than expected expansion of the Universe