江沢民元主席の「怪写真」が出回る 謀略か? 「裏の裏」の可能性も

中国のインターネットで5月28日、「江沢民元国家主席が本日、上海科技大学を視察した」との情報が広まった。写真も掲載されたが不審な点が多い。中国共産党は今年秋、5年に1度の党大会を開催する。「ポスト習近平」の次期指導者が事実上決定する可能性も高い。江元主席は現在90歳であり、健康状態が共産党上層部の人事に関係する可能性があるとして、注目されている。

「一只頭破血流的狗(一匹の頭に傷を負い血を流す犬)」のアカウント名で微博(ウェイボー、中国版ツイッター)に投稿された。注目を集めてたちまち拡散したが、最初の投稿は削除されたとみられる。

江元主席は、体を多少支えられてはいるが、自力で歩いているように見える。同情報については健在さをアピールする目的で掲載されたと見られたが、不自然さを指摘する声が相次いだ。

指摘が集中したのは、屋外で撮影された「記念写真撮影時の様子」を示す写真だ。江元主席を中心に数十人が並び、それ以外にも周囲で様子を見る人々が写っている。影が短いことから正午前後の撮影を分かる。よく晴れている。

上海科技大学の所在地は上海市浦東区。5月28日は晴れで、最高気温は摂氏32度だった。5月19日から25日までは曇りまたは雨で、26日は晴れで最高気温27度、27日も晴れで最高気温は30度。日差しが強い中での撮影ならば、さらに暑さを感じるはずだ。

写真を見ると、半そでの人もいるが、多くは長袖のワイシャツ姿だ。さらに3分の1ほどの人は背広姿だ。江元主席も黒い背広を着ている。

さらに、写真左側の樹木にはほとんど葉がない。新芽の状態だ。芝生の状態も黄みがかっている。したがって、写真撮影の日時は5月下旬では恐らくは早春と考えられる。ということは「遅い時期の公開」を想定し、江元主席と一緒に被写体になった人は「できるだけ薄着で」と指示されていたことになる。

ここで、もう一つの疑問が出る。「怪しい」とすぐに分かる写真を、なぜ公開したかだ。わざわざ屋外で撮影した写真を示す必然性は思いつかない。

ということは、「江沢民元主席の健在ぶりをアピールする写真が出回ったが、実は健在でない可能性が高い」との見方を広めるために、なんらかの意図をもって「仕組まれた」可能性すら出てくる。「真相は藪の中」としか言えない状態だ。

上海科技大学の学長は江沢民元書記の長男である江綿恒氏。

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江元主席については3月29日、中国人ジャーナリスト2人がSNSで、江蘇省揚州市で開催された記念行事に姿を現したと写真を添えて発表した。2人のうち1人は、中国共産党上層部に「特殊なつながり」があるとみなされている人物で、1人は民主化運動に深くかかわり、「国家機密漏洩罪」などで3度にわたり有罪判決を受けた経歴を持つ。

2人は江元主席が揚州市に現れたのは3月28日と説明。写真を入手した経緯は不明。しばらくして、全く同じ写真が2010年5月に江主席が揚州市を訪問した際の報道に使われていたことが分かった。同ケースでも「なぜ、すぐにばれる偽情報」が発表されたことになる。(編集担当:如月隼人)

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