深刻きわまる塵肺、患者報告数72万人以上との報道も=中国

中国では塵肺患者が極めて多い状況が続いている。新浪網は20日、塵肺患者の状況を紹介する写真記事を掲載した。極めて深刻な患者多発の背景には、収入を得るためには環境が劣悪な職場で働かねばならぬ、貧富の格差問題がある。

胡漢清さんは36歳。湖南省の農村部出身だ。妻の黄玉連さんは35歳。出稼ぎ先で知り合って1999年に結婚し、双子の女の子を授かった。

2人が「よいニュース」を得たのは2006年の春節(旧正月)に帰省した時だった。広東省四会市では「玉(ぎょく)」の加工業が大盛況で、苦しい仕事を耐えさえすれば高い収入を得ることができるという。2人は広東省に行くことに決めた。

玉を加工する時には大量の粉塵が出る。吸引装置があるが、所在地の村には極めて多くの加工場が集中しており、「どこに行っても粉塵が舞っている」状況という。胡さんは「仕事を頑張る人ほど早く死ぬ。粉塵を多く吸うからね」と説明した。

 

玉を買い求めるのは富裕層、そこまではいかなくても中流階層の人々だろう。彼らの支払いがまわりまわって胡さんらに収入をもたらす。しかし胡さんは収入と引き換えに、健康をも手放すことになった。記事は胡さんの状態について「今となっては命のカウントダウンになってしまった」と紹介した。
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中国では塵肺患者が極めて多い状況だ。中国新聞社は2015年7月「中国における塵肺の報告人数は72万人を超えた。うち62%が炭鉱労働従事者」とする記事を発表した。ただし、雇用していた企業が塵肺により健康が悪化した労働者を解雇し、しかも必要な証明書を発行しない例もあるという。実際の患者数はさらに多い可能性がある。

人民日報は同年2月、中国煤鉱塵肺病防治基金会(中国炭鉱塵肺防治療基金)による患者救済事業を紹介した。同基金の創立は2004年で、同時点までに塵肺患者12万5500人の治療に寄与したという。ただし農民工(農村部出身の出稼ぎ労働者)は8620人と、人数が極めて少ない。

塵肺で異変を起こした肺の組織が元に戻ることはない。治療とは、残された肺機能をいかに維持していくかということになる。人民日報は、治療を受けた場合には「苦痛をなくすか軽減するかで寿命を延ばすことができた」と表現した。

中国政府が設立した中国疾病預防控制中心(疾病予防抑止センター)が2015年12月に発表した職業病に関するリポートによると、2014年にチベット自治区を除く全国で報告があった職業病は2万9972例で、うち塵肺が全体の89.66%に相当する2万6873例だった。塵肺の報告数は前年よりも3721例増加した。(編集担当:如月隼人)

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Posted by 如月隼人