インドで高まる反中感情、中国製品の不買訴える街頭行動や政府のダンピング調査も

中国メディアはこのところ、自国との対立が激しくなったインドにおける反中感情の高まりを報じている。中国製品の不買を訴える街頭行動や、政府当局による中国製太陽光パネルのダンピング調査に注目する記事が見られる。

中印の緊張が高まったのは6月下旬ごろから。双方の国境近くへの軍部隊の増派などが目立つようになり、軍・政府高官が非難の応酬をするようになった。

中印両国は互いの国民感情もよくない。人民日報系の海外網は8日、インドの民族主義団体がインド北部の重要地域であるウッタル・プラデーシュ州で、中国製品の不買を訴える活動を始めたと伝えた。街頭宣伝車を繰り出し、「中国製品をわが国から追い出せ」などと放送しているという。

海外網によると、インドではその他の多くの地域でも中国製品の不買を訴える街頭宣伝、署名活動、集会が行われている。

中国メディアの中国経済周刊(中国経済週刊)は8日、インド当局が7月25日に中国、台湾、マレーシアから輸入された太陽光発電パネルに対するダンピング調査を開始したと紹介した。記事は、インドが太陽光発電業界にとって極めて大きな潜在力を持つ市場と指摘。

さらに、インドにおける太陽光発電パネルの完成品製造会社で、規模が大きな10社のうち8社までが中国系企業と指摘。インドにおける太陽光パネルの7割程度が、中国企業の製品と論じた。

記事はその上で、インドは工業基盤の薄さから、太陽光パネルの生産で中国からの輸入に頼らざるをえない状況で、インド政府の太陽光発電推進の計画を満たすためには外国製品に頼る必要があるとして、インドが中国製品の輸入を制限した場合、インド自身に悪影響が発生することを示唆した。

記事はさらに、インドへの投資者の多くが、インド企業には契約を守らないなどのリスクがあると述べたと紹介した。
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◆解説◆
中国とインドの対立が激しくなったきっかけは、中国軍がブータンとの国境係争地であるドクラム高地に道路建設を始めたことだった。中国とブータンはもともと国境が確定されていなかったこともあり、約269平方キロメートルとみられる領有係争地がある。中国が1990年代に係争地に基地建設などを行ったことで、問題はすでに顕在化していた。

中国はインドとも、国境問題を抱えてきた。中国は1962年、周到に準備した上でインドを奇襲攻撃して勝利した(中印国境紛争)。両国政府は1980年代ごろから関係の安定化に努力してきたが、双方が相手を「大きな脅威」の認識していることに変わりはなく、国民感情も悪いままだ。

インドにとってドクラム高地は自国領ではない。インドと中国が領有権を巡って係争しているのは、インド東部のアルナーチャル・プラデーシュ州(中国側名称は藏南地区など)と西部のカシミール地方だ。しかしインド主要部からアルナーチャル・プラデーシュ州があるインド東北部に至るまでは、ネパール、バングラディシュ、ブータンなどに挟まれた自国領内の細い「回廊」を経由せねばならない。インドにとって中国軍によるブータン方面への配備強化は、国境を巡り中国と対立している自国東北部への交通が遮断されるリスクが高まることを意味する。

そのため、インド軍もブータンに隣接するシッキム州などへの軍配備を強化。中国側はインド側に越境行為があったなどとする非難を繰り返すことになった。

 

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