インドネシアに巨大・関羽像=除幕式後に反発の声が沸騰、再び布で覆われる

マレーシア・メディアの星洲網などによると、インドネシアで建設された高さ30.4メートルの巨大「関羽」像に対する反発の声が高まった。管理側は5日、同像を白い布で覆った。7月17日に除幕式が行われたばかりだった。

 

関羽像は東ジャワ州トゥバン県にある関聖廟(関帝廟)に建設された。高さは10階建てマンションなどに相当する約30.4メートルだ。建設費用の25億インドネシア・ルピア(約2000万円)は関聖廟参拝者の寄付をもちいたという。華人系住民の感情を反映した建設と考えてよい。

しかし、7月17日の除幕式後、SNSなどを含めて同像に対する反発の声が急速に高まった。「(インドネシア)政府が華人にコントロールされていることを示すもの」など、批判は自国政府にも向けられた。

現地のイスラム系団体も関羽像に強く反発。「インドネシアの歴史に、何の関係もない人物」などとして、関聖廟に撤去を求めた。

現地の半官半民組織である「信徒と調和フォーラム」は関聖廟に対して「民間の感情を和らげる措置」を提案。関聖廟側は提案に応じる形で、8月5日に関羽像を白い布で覆った。

関羽像についてはSNSで「公共の場所に建てられた」、「建設許可を取っていない」などの書き込みも出現した。関聖廟責任者は「関羽像は中国(当局)と何の関係もない。建設場所は関聖廟の敷地内であり、公共の場所ではない」などと表明。ただし、建設許可については「2016年3月に許可のための申請をしたが、許可が一向に下りないので関聖廟関係者が先に建設することを決めた」と、許可をまだ取得していないことを認めた。

現地の華人系住民団体の「華裔総会」の関係者は、「関羽信仰は戦争を崇拝するものだ」とする批判に対して「誤解だ。忠義の行為を崇拝するものだ」と説明した。

インドネシアの華人系住民は人口の3%-3.5%を占める約650万-740万人とされる。しかし、「ノン・プリブミ」と呼ばれる華人系財閥が経済の大半を支配するなどの現象があり、インドネシアにおける政治で、華人系住民の扱いはデリケートな問題だ。

インドネシアでは1965年9月30日に発生したクーデターで、50万人が虐殺される事態が発生した。うち40万人が華人系住民だったとされる。

同クーデターについては現在も不明な点が多い。クーデター前のスカルノ政権は、経済運営に失敗し権力維持のためにインドネシア共産党と接近していた。共産主義者の一部軍人が政権奪取を目指し、軍幹部数人を殺害するクーデターを起こすと、鎮圧と治安回復のために乗り出したスハルト陸軍少将が共産主義者の徹底的な弾圧を実施したとされる。

クーデターまでに、東南アジア最大の共産党に成長していたインドネシア共産党は大弾圧を受けた結果、壊滅した。インドネシアに共産党政権を樹立しようとした動きの背景には、インドネシア共産党と親密な関係にあった中国共産党の働きかけがあったとの説もある。華人系住民は、中国本国あるいは中国共産党に操られる存在との口実で虐殺された。(編集担当:如月隼人)

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