台湾が「モンゴル・チベット委員会」撤廃へ…中国は反発・警戒、亡命チベット側は歓迎

台湾国営の中央通訊社は15日付で、行政院の林錫耀副院長(副首相)が、年内に中華民国・蒙藏委員会(モンゴル・チベット委員会)を撤廃する意向を明らかにしたと伝えた。蒙藏委員会は中華民国が1912年に設けた、モンゴル・チベット地域を管理するための部署。中華民国政府が台湾に逃れてからは、中国大陸に対する統治権を象徴する部署として存続してきた。

台湾では2010年に成立した行政院組織法修正で、8政府部門を対象として2012年を期限とする組織改編が定められていたが、蒙藏委員会については手つかずの状態が続いていた。政府部門の整理にともなう業務、財務、人員の移行については当初は2014年末が期限とされていたが、組織改編の遅れにともない2018年1月までと延期された。
蒙藏委員会については17日に審議が予定されている2018年予算案で、予算がつけられていないことが分かり、注目されていた。林副首相は、蒙藏委員会の撤廃を含む政府6部門に及ぶ組織改編が実効されていないと指摘。9月中旬の立法院(国会)における審議と成立を目指していると述べた。

中国では人民日報系の海外網が14日、蒙藏委員会には象徴的意義しかなかったと紹介する一方で、撤廃は蔡英文政権が組織改編を口実に、依然として「脱中国化」の道を歩もうとする動きであり、「一つの中国」を認めない方針と裏腹の関係にあると主張する記事を発表した。

中国政府で台湾関連問題を扱う国務院台湾事務弁公室の安峰山報道官も5月、台湾における蒙藏委員会の撤廃について「台湾の内部調整の問題については評論しない。ただし、内部調整を名目として脱中国化や台湾独立の分裂の行為を行うことには断じて反対する」と述べていた。

一方でインドに拠点を置く亡命チベット人のメディアである「ボイス・オブ・チベット」は蒙藏委員会の撤廃について「チベットにとっても台湾にとってもよいことだ」と論評した。

蒙藏委員会は現在、職員が50人強であり、チベットやモンゴルの文化紹介などの事業を行ってきた。ボイス・オブ・チベットは蒙藏委員会の2015年予算を例に、人件費が約60%で事業費が30%という異常な状態で、台湾政府にとっては負担になっていたと主張。

また、かつては亡命チベット人社会の分断工作を多く行っていたと指摘し、李登輝総統時代から分断工作は基本的になくなったが、蒙藏委員会が撤廃されることは、台湾の公的機関が亡命チベット人の分断を2度と行わないことを意味するとして、「チベットにとってもよいことだ」と論じた。

なお、中華民国は清朝時代に外蒙古と呼ばれた地域(1924年からモンゴル人民共和国、現:モンゴル国)の独立を認めなかった。国共内戦に敗れ台湾に逃れてからも認めていなかったが、陳水扁政権時代に、モンゴル国を実質的に認め、2002年にはウランバートルに台北貿易経済代表処を設置。モンゴル国も台北に貿易代表事務所として設置し、それぞれが事実上の大使館として機能している。そのため、蒙藏委員会のモンゴル国地域に関連する業務もなくなっていた。(編集担当:如月隼人)

【関連】
中国が出場辞退、台湾チームは国旗掲げる=インドで開催の国際数学コンペティション

日本の雑誌が台湾特集、表紙写真の旧市街に「みっともない、面汚し」の声=台湾