台湾の円山水神社の狛犬が盗まれる、現場には反日落書き 市関係者「絶対に許さない」

台北市内で同市古跡に指定されている円山水神社(現地表記では「圓山水神社」)にあったにあった、狛犬2体のうちの1体が持ち去られていることが14日午後までに分かった。台湾メディアの聯合新聞網は15日付で、同市文化局の田瑋副局長が「絶対に許せない罪だ」と憤慨したと伝えた。

円山水神社は台北市文化局が2004年に市古跡に指定した草山水道系統(草山水道システム)の一部。同古跡は、日本統治時代に台北市にとって2番目となる飲用水道の水源施設で、取水施設、導水溝、導水管、調整井戸、水道橋、浄水施設、発電所、貯水池などからなる。一連の施設を総合する「系統性古跡」としては、台湾初の指定だった。

草山水道系統の施設建設は1928年の着工だった。工事は難航し、事故による死者も出たため、水道会社職員の寄付により、工事の安全祈願と殉職者の慰霊のために円山水神社を設けた。当時の御神体だった水仙尊王の像はすでにないが、石灯篭や狛犬などの保存状態は良かった。同神社は台湾における水道事業の発展の証拠の一つと位置付けられている。

台湾では5月28日、台北市内の逸仙国民小学校の校門に置かれていた狛犬が破壊された。市文化局の田副局長は、「円山水神社の狛犬は逸仙国民小学校の狛犬は同じではない。円山水神社の狛犬は古跡に指定されている」と、指定された文化財が破壊されことに強く憤り、「どんな人物が何を企てたのかはわからないが、警察に協力して監視カメラ映像の有無の確認を含め、調査を進める」と述べた。

台湾南部の台南市・烏山頭ダム畔に設置されていた日本統治時代の技師、八田與一像を4月16日に破壊し、逸仙国民小学校前の狛犬も破壊した李承龍・元台北市議は、円山水神社の狛犬について「私が持ちだったのではない」と主張。事件発生後に現場を訪れて撮影した動画も公開し「あんな重い物は大人数でなければ持ち去れない」などと論じた。

田副局長は、同事件について「台湾の古跡を破壊しようとした事件であり、個人的な単純な仇日感情によるものではない」との考えを示した。

円山水神社の簡易な神殿の4本の柱には、白いペンキで日本を罵倒する文句が書かれていた。また、現場には同じ文句を書いた紙が残されていた。書かれていた文句は「奪台殺民一百万/侵華虐殺数千万/日寇倭奴狗畜牲/皇民賤種三脚仔(台湾を奪い100万の民を殺し/中国を侵し数千万を虐殺/日寇倭奴は犬畜生/皇民は卑しい人種で三本足)」だった。

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◆解説◆
「三脚仔」は日本が皇民化政策を進めた時期、日本式に改姓した台湾人や日本人に協力的だった台湾人を罵るために使われた言葉。権勢を振りかざす日本人を「四脚仔(四本足)」すなわち「犬」と罵ったことに由来する。

敗戦に伴い日本人が台湾から撤退し、中国から国民党がやってきた後の台湾では「狗去猪来(犬が去って豚が来た)」の言い回しが広まった。「犬は猛々しく吠えたてるが、家の番をするなど役に立つ面もあった。豚は貪るだけで何もしない」と意で、当初は多くの台湾人が国民党による台湾統治に期待したものの、あまりの腐敗ぶりと無能さに、たちまち失望に変わったことを反映した言い回しで、大陸で出版された雑誌にも、同言い回しを紹介して国民党による台湾統治を批判する論説が発表された。(編集担当:如月隼人)

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