雑感:ホンダジェット、出荷数が世界一に・・・日本の「得意分野」についてもう少し考えてよいかも

ホンダの小型ジェット機「ホンダジェット」の2017年上期(1-6月)の出荷が24機になり、小型ジェット機(重量5.7トン以下)の分野で初めて世界一になったそうです。

燃費のよさは広い機内が好評を呼んでいるとのこと。また、出荷増の原因は生産速度の向上といいます。ということは、生産力以上に需要があるということでしょうか。今後の需要の読みもあるので、生産ラインをむやみに拡充することも難しいのですが、世界から歓迎されているということは、すばらしことです。

一方で、三菱のMRJは苦戦しているなあ。納入延期を繰り返している。難しかったのかなあ。

 

 

そこで、こんなことを思い浮かべたのです。MRJについては旅客機製造のノウハウ取得という大きな意義があったのはその通りなのでしょうが、日本にとって「得意分野」とは言えなかったのではないか。なにしろ、YS-11以来の空白分野だったのだから。

YS-11の開発に着手したのは1950年代末でしたから、戦前の軍用機開発のノウハウはあった。軍用機と民間機の違いで、相当に苦労したそうではありますが、それでも技術の連続的継承が可能だった。三菱も、小型ジェット機を先に開発した方が、もっとスムーズに進められたかもしれない。

「日本の得意分野」については、こんな経験がありました。昔、民族音楽のCD制作なんて仕事に加えていただいたことがあったのです。好奇心だけは旺盛ですから、録音スタジオでも、技術者の人にいろいろ質問しました。

まず、調整卓というドーンと大きな機械がある。マイクで拾った音をいろいろ加工する機械です。なんでも英国製ということでした。そしてマイクはドイツ製。戦前のドイツで、ヒトラーの演説に使うために開発されたマイクということでした。スペックでは最近のマイクにかなわないのですが、技術者によると「こいつほど、音を色っぽく採ってくれるマイクはない」とのことでした。

そしてスピーカーは米国製。これは別のところで聞いたのですが、米国のスピーカー技術が発達したのは、軍事的に必要とされたそうです。なんでも、潜水艦のスクリュー音を聞き分けるために「超忠実」な再生が求められたとのことでした。

日本製は・・・、というとあまり出てこない。かろうじて、録音機がありました。

1970年代ごろからしばらく続いた「オーディオ・ブーム」という現象がありました。今ではパソコンなどデジタル商品を多く扱う秋葉原の電気街でも、大型店舗ではフロアの多くをオーディオ製品に割いていた。テレビなど家電と肩を並べる主力商品でした。

そんな時代、日本製のオーディオ製品は世界を席巻しました。でもそんな中で、プロの使う最高級品に日本製の出番はあまりなかった。やはり経験の蓄積がモノを言ったそうです。録音機が健闘できたのは、おおむね戦後になりスタートした分野だったからといいます。

つまり、日本にとって「最高級のオーディオ製品」は当時も現在も「得意分野とは言えない」ということです。当時のオーディオ・メーカーもそのことは熟知していて、一般向けの製品に特に力を入れた。大量生産品ですから、品質管理などが重要になってくる。こうなると日本企業は強い。ボリュームゾーンを大量に販売して、大いに儲けました。

こんなことが気になるのは、どうも昨今の日本には「日本の技術をもってすれば、不可能はない」なんて考え方が強いように思えるからです。自信を持つのはよいことですが、それが過信になってしまうと、実に危ない。

念のために書き添えますが、MRJの開発が間違っていたとは決して言いません。技術獲得のため、困難を承知の上で挑戦するのは素晴らしいことです。当事者も、さまざまな壁にぶつかることは想定していたと思います。

ただ、MRJ開発のニュースを受けとめた日本人の多くは「日本の技術をもってすれば楽勝」といった程度に思っていたのではないのか。これは私も含めてです。それはやはり過信ではなかったかと反省しているわけです。

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