中国は世界最大の「監視国家」・・・カメラ2000万台を設置、情報多すぎ警察の捜査に支障でる場合も

2017年9月29日

中国では25日ぐらいから「中国天網がズームイン、通行人の年齢、性別、着衣を正確に判別」と題するインターネットへの投稿動画が関心を集めている。「天網工程」とは街頭監視システムの構築プロジェクトで、すでに中国全国でカメラ2000万台が稼働しているとされる。一方で、犯罪発生時に情報が多すぎて、かえって捜査に支障が出るケースもあるという。

「天網工程がズームイン」は最新式の映像として、街頭で撮影された動画を紹介した。人工知能を使用していると思われ、通行人や車両の近くに「女」、「成人」、「気動車」などの文字情報が表示されている。人や車の移動とともに文字表示も動いていく。

「ここまで監視されていのか」と不気味に思うのは人情だ。中国メディアの中国新聞社は28日「2000万の撮影カメラがあなたを見る天網工程、プライバシーを侵害するのか」と題する記事を発表した。

記事は「天網工程」について、「都市の総合管理、犯罪と突発的な治安事件と事故を予防・摘発し、信頼できる映像資料を提供することが目的」と紹介。また、中国共産党中央政法委員会が牽引し、政府の関係部門が推進していると説明した。

「天網工程」は実際には都市部だけでなく、一部農村や企業内でも進められている。中国で設置された監視カメラはすでに2000万台以上で、世界最多という。

 

具体的作業は地方政府が進めている。湖南省は2011年に「天網工程」に着手し、省政府は14年までに5億2800万元(約90億円)を投じて、監視カメラ5万台以上を設置した。うち2万7000台は高性能カメラという。同省省都の長沙市では、最終的に監視カメラ18万6000台を設置する予定だ。

16年8月までに監視ポイント3万5000カ所を設けた江西省南昌市では、同年1月から8月までに監視カメラによる映像情報が、犯罪容疑者1635人の身柄拘束に結びついたという。

記事は、「天網工程が強力に推進されているにも関わらず、児童誘拐や強盗窃盗などの事件が後を絶たない」と指摘。その理由として、天網工程の主要な目的は治安維持であり、個別の一般的な刑事犯罪への対応ではないと説明した。

記事はさらに、「天網工程」が抱えている問題点を紹介。犯罪の発生を受け警察が画像や映像の分析に着手し、容疑者の逃走経路を割り出そうとしても、収集された膨大な情報の処理に時間がかかり、結論が出た時にはすでに「戦機を逃していた」などの事態があるという。

さらに、各部門が個別に運営する「天網工程」のネットワーク化が進んでいないために、容疑者が事件発生地点の警察の所管地域外に移動すれば、追跡は困難になる。

プライバシーの問題について北京大学法学院の薛軍教授は「天網工程は個人を特定する情報を集めるのでなく、公共の場所における映像情報なので、一般にはプライバシーを侵害する問題は存在しない」との考えをしました。

しかし、北京市在住の徐凱弁護士は「権限のない者が利用したり、刑事捜査以外の目的で利用された場合、違法性が発生する可能性がある」「政府機関が個人情報を大量に取得し、巨大データベースを構築することについて、個人情報を分類してそれぞれの扱いを定める法律体系は形成されていない。これがプライバシー権の遭遇する主要な問題だ」と述べた。

中国の民法総則111条は、「自然人の個人情報は法律の保護を受ける。他人の個人情報取得については、いかなる組織も個人も法律にもとづかねばならず、情報の安全を確保せねばならない。(個人情報の)違法な収集、使用、加工、他者への伝達、違法な売買や提供、公開は認められない」と定めている。

中国新聞社は「天網工程」について、各地で情報の取り扱いルールが定められていると紹介。ただし、ルールは地方ごとに異なり統一されておらず、厳格に実施されてもいないという問題があると論じた。(編集担当:如月隼人)

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Posted by 如月隼人