雑記:中国滞在中の思い出…うすら気持ち悪かったこと、「なかなかやるではないか」と感心したこと

いま、ふと思い出したことがあります。忘れないうちに書いてしまおう。

 

【その1】
私が中国にいたのは、ずいぶん昔です。まだインターネット、そしてEメールも使えなかった時代。日本の知人や実家に連絡するために使うのは、昔ながらの「手紙」でした(電話は高額すぎて、めったに使えない。少なくとも私からは)。ある時、知人がハングルの勉強を始めたと知りました。こういう情報に接したら、何かしたくなるのが私の常。

とうことで、中国でも「朝鮮語」の教材はすぐ手に入るので、ハングルを使って手紙を書いた。といっても、韓国語ではなく日本語。ハングルは表音文字で発音の種類も日本語よりよほど多いので、こういう遊びができる。

時間が経ってから分かったのですが、その手紙は着いていなかった。同時期に別の人に書いた手紙は、ふつうに日本語で書いて普通に届いた。ハングルを勉強しはじめた人にその前後に送った手紙は、全部届いた。ハングルを使って書いた手紙だけが届かなかった。当時は、外国人の手紙はしばしば検閲されているとの噂がありました。私の届かなかった手紙は検閲に引っかかったのではと想像しています。

順を追えば「日本語担当の検閲官が手紙を開封→ハングルで書いている→ハングルの担当官に渡す→韓国語/朝鮮語ではないので読めない→機密情報が描かれているのではないかと疑う→怪しいので没収・放棄」ということだったのでしょうか。届かなかったのは先にも後にも、この手紙だけ。うすら気持ち悪いなあ。

【その2】
珍しく、日本のある会社から電話がかかってきた。皆さんも名を聞けばきっと知っているレコード会社です。以前からお世話になっていたプロデューサーの「Iの上」さんからで、民族音楽のCDのライナーノート執筆についてでした。その前に一次帰国した時もお会いしていて、「執筆を依頼したいが、どうでしょう」と聞かれたので、OKしていました。ただ、国際郵便のやり取りがあったり、資料探しに手間取るかもしれないから、時間に余裕を見て必要な資料を送ってほしいと伝えていました。

日本滞在中に相談を受けた時にCD制作は決まっていたのですが、曲目なんかは未定ですからね。それを伝えてもらわねば、書きようがない。そうそう、音源もきっちり聞かねばならない。

で、電話でIの上さんが言うには「資料はずいぶん前に送った。もう締切だ」とのこと。あれれれれ? 届いていない。資料がなければ書けないので、改めてEMS(国際スピード郵便)で送るようにお願いしました。

その3日後ぐらいでしたかねえ。Iの上さんが最初に出した郵便が届いたのは。Iの上さんはなんでも、別の人に発送を依頼したらしい。その人が何を考えたか、宛先住所を普通に漢字で書けばよいのに、「Peking-shi,Saijou-ku」てな具合に、日本語読みをローマ字にして書いていた。中国語のローマ字表記は「Beijing」(北京)とか「Xicheng-qu」(西城区)ですからね。中国人が普通に読んで、分かるわけがない。

逆に言えば、よく届いたものだ。この時ばかりは、中国の郵便関係者のプロ根性に驚き、「なかなかやるではないか」と感心したのでありました。

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