香港・マカオ関連では「基本法」の格下げ、反中派を排除の構え…習近平報告の全訳<中間報告>

ということで、18日に始まった同党の第19回全国代表大会(党大会)冒頭の「習近平報告」ですが、全訳の作業は遅れに遅れています。そこで、気づいたことの<中間報告>です。今回は香港・マカオ関連をご紹介します。

この部分は、ニュアンスが大きく変わりました。中国中央側の香港やマカオへの強権発動を示唆する内容にあふれています。報告では香港とマカオが常に併記されていますが、いちいち書くと長くなるので、ここでは「香港」と書きます。問題が大きいのは香港ですし。

さて、前回2012年の「胡錦濤報告」とどう違うか。まず「基本法」の扱いです。基本法とは香港が1997年に英国から返還される際に作られた、中国による香港統治を定めた法です。最大のポイントは、「返還後50年間は香港社会の現状を維持」とした部分で、これによって香港は資本主義体制の維持や言論や集会・結社の自由など、西側諸国と同様の体制維持を保障されたわけです。いわゆる「一国二制度」の採用です。

胡錦濤報告は香港について「中央政府は基本法に厳格に基づいて物事を行う」と明記しました。習近平報告は「憲法と基本法に厳格に基づいて物事を行う」としました。明らかに、香港で火がついた「独立要求」を意識したものです。

香港で「独立要求」が噴出したのは、そもそも共産党側の失敗でした。普通選挙が行われる予定だった2017年の香港行政長官選びで、中国側が「反中国的」とみなす人物が立候補できない仕組みを作った。それに反発して大規模な抗議運動(雨傘運動)が発生。中国が締め付け強化。反発がさらに強まる。と、他にもいろいろありましたが、おおむねそういう流れでした。

それから、胡錦涛報告では香港に対する評価として「われわれ(共産党)は、香港の同胞には特別行政区をしっかりと管理・建設する知恵と能力と方法があるばかりか、国家の実務において積極的な作用を発揮し、全国各民族人民と共に中国人の尊厳と栄誉を享受すると、固く信じる」と表現しました。

つまり、中国本土と香港の間に安定して良好な関係が成立していることを前提に、評価したわけです。

一方の習近平報告は「一国二制度」や「港人治港(香港人による香港自治)」などの言い方を盛り込む一方で「われわれは、愛国者が主体である『港人治港』が、愛国・愛香港の壮大な力を発展させ、香港同胞の国家意識と愛国精神を増強し、香港同胞が祖国の人民とともに、民族復興の歴史的責任を担わせることと、祖国の繁栄と富強という偉大な栄光を享受させると、固く信じる」と論じています。

「愛国者が主体である『港人治港』」との言い方からは、中国政府(中国共産党)を批判する勢力を香港の自治体制から排除するとの考えを読み取ることができます。

香港ではすでに、「2047年問題」が関心を集めています。「一国二制度」が適用されるのは「英国から返還後50年間」とされているので、「2047年以降は中国内地と同じ統治体制になる恐れがある」との懸念が広がっているのです。

その時まで習近平政権が継続しているとは考えられませんが、香港では「中国共産党はすでに『一国二制度』の空文化を始めた」との主張もあり、今回の習近平報告で、不安感はさらに高まりそうです。

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