太平洋で漂流5カ月、台湾漁船が米国人女性2人を救助

台湾メディアの蘋果日報(アップルデーリー)は28日、ヨットが破損して太平洋を5か月間漂流していた米国人女性2人と犬2匹を台湾漁船が発見して救助したと報じた。日本に停泊していた米海軍軍艦が現場に向かい、女性と犬を引き取った。

救助されたのはジェニファー・アペルさんとターシャ・フィアバさんと、犬のバレンタインとイージス。アペルさんらは5月3日、タヒチを目指してハワイを出港。同月30日に暴風雨に遭遇し、船体が損傷を受け、エンジンや通信装置は故障した。2人は南を目指して帆走すれば陸地にたどり着くと考えていたが、ヨットは西に流されていった。

2人が遭難信号を出したのは出港後2カ月が過ぎて、タヒチ島到着予定日を大きく過ぎたころだった。その後、98日間にわたり遭難信号を発しつづけたが気づいてもらえなかった。陸地から離れすぎていたためとみられている。

漂流するヨットを見つけたのは台湾漁船の「豊春66号」。5月10日に台湾南部の前鎮漁港を出港し、北太平洋で操業する予定だった。24日午前10時ごろ、東京の南930海里(約1300キロメートル)の海域で、ヨットの上で女性2人が白い旗を振り、「HELP!」と叫んでいるのに気づいた。接近して事情を尋ね、5か月間も漂流していると知った。

豊春66号の陳長利船長は2人を自船に上げた。まずは2人に衛星電話で家族に無事を伝えさせた。次に台湾政府の漁業署に連絡。漁業署から通報を受けた国家捜索指揮センターが米国海軍のグアムと日本の部隊に連絡した。米海軍は佐世保基地配属のドック型揚陸艦のアシュランドを現場に向かわせた。

アシュランドの到着は25日午前8時ごろだった。豊春66号の陳隊長は発見当初、ヨットをミッドウェイ島まで曳航(えいこう)することを検討したが、船体の状態が悪いため危険があると判断して断念。また、操業する海域に急行する予定だったが、アペルさんらはいったんヨットに戻ったので、異変が発生した場合もアペルさんらをすぐに救助できるよう、ヨットの近くで待機した。

アペルさんらによると、食糧は1年分を積んでいたので食べ物に困ることはなかった。海水を淡水化する装置も備えていたがいったんは故障し、修理に成功するまでに水が乏しくなったこともあった。また、体長が6-9メートルのサメの群れに襲われて船体に激しく体当たりされることが2度あった。その時ばかりは本当に怖く、「サメの餌になるかも」と思えた。漂流が長期化してからは毎日「今日が命の最後の日になるのでは」と思っていたという。

豊春66号を所有する水産会社の豊春漁業の関係者は、陳長利船長は50代で、海での仕事を長く続けているベテランと説明。陳長利船長は「海上における救難は、海で仕事をする者にとって最も基本的は人道行為であり国際慣例です。だれもがするはずであり、すべきことです。特別なことではありません」と述べたという。(編集担当:如月隼人)

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