雑記:中国語の仕事をしていて目を白黒

なんやかんや言いながら、中国語に関係する仕事を続けています。正直に言って、私の中国語能力は語学プロのレベルではない。特に会話関連ではプロの通訳者の力の足元にも及ばない。とはいえ、仕事を依頼されることもありました。特に、私の割とよく知る分野の場合です。

内モンゴルの馬頭琴(モリン・ホール)の演奏家で、チ・ボラグという先生がいらっしゃいます。日本に例えるなら人間国宝に相当する称号の持ち主。この、ボラグ先生に付き添って、通訳や解説の仕事を多くした時期がありました。

モンゴル音楽について割と理解していたということもありますし、本当に本当にわずかですが、モンゴル語を知っていたということもあります。もちろん、私は日本語・中国語の通訳をしていたわけです。ボラグ先生は内モンゴル出身で中国語に堪能ですから。ただ、ボラグ先生が専門用語とか地名などの固有名詞をモンゴル語で話しても、私はそれほど困ることなく日本語に変換できる。

このボラグ先生、音楽面においてはものすごい才能の持ち主で、馬頭琴という楽器についての功績は空前絶後なのですが、お人柄はとにかくざっくばらん。一流の芸術家としての感情面のとてつもない繊細さをビンビン感じましたが、一方で、豪快磊落な精神も持ち合わせている。さらに、ものすごく頭のよい人なのです。

日本語を正式に学んだ経験はない。でも、日本での動を重ねたことで、日本語能力は相当に高い。といいうことで、通訳する際に私は困りましたね。ボラグ先生はしばしば、相手の日本人の日本語に対して、片言ではありますが日本語で発言してしまうのですね。

プロの人の通訳については知らないのですが、私の場合には「耳に中国語が飛び込んできたら日本語に変換して口から出す」「耳に日本語が飛び込んできたら中国語に変換して口から出す」と作業をするしない。脳みそをふり絞って、“機械的”に対応します。

したがって、ボラグ先生が日本語を口走ると、私は相手の日本人に中国語を口走ることになり、相手の日本人は目を白黒。ということになるわけです。

いやあ、困りましたねえ。私もボラグ先生に言いましたよ。「日本人と会話して、私が通訳を務めている場合、突然にして日本語を交えることは控えてください。特に舞台上の場合には」、と。

ところが、ボラグ先生はいっこうに改めてくださらないのですよねえ。どうも、私がとっさの際に目を白黒させているのを、おもしろがっていたみたいです。

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