内モンゴルで地下鉄建設の計画を撤回…新華社が「前任者」を批判、権力闘争と関係の可能性も

中国共産党内モンゴル自治区委員会は3日、自治区政府の債務軽減を目的に、包頭(バオトウ)市とフフホト(呼和浩特市)の地下鉄建設を停止することを決めた。建設計画が進められた時期に同委員会トップの書記を務め、習近平国家主席と対抗関係にあるとされる胡春華氏(写真左)、王君氏(同右)の責任を追及する権力闘争にも結び付く可能性も否定できない。
包頭市については地下鉄全線、フフホトについては3・4・5号線の建設を停止する。3日に開催された委員会全体会議及び区経済工作会議で発表された。自治区の債務を軽減する一環で、銀行の不良債権問題と農村牧畜地区への高金利貸付の問題と合わせて、可能ならば2019年、遅くとも22年までに自治区の債務を合理的な水準まで低下させるとした。
 
新華社は記事中で「一部の工作指導は現実を逸脱し、一部の経済データは事実と異なり、一部の地方はやみくもに起債による建設を進めている」などと批判。さらに、地下鉄の建設停止などを決めた会議は出席者の「強烈な共鳴」を得たと表現した。
 
また、自治区委員会が「自らのゴシップを暴いた」として、自治区の経済指標について再調査したところ、2016年について財政収入には26.3%の、工業増加値には40%の水増しがあったとした。
 
新華社が前任者への批判と読める書き方をしたことからは、地下鉄建設の停止が権力闘争に関係する可能性を指摘することができる。
 
同委員会トップの書記を2009年11月から12年12月まで務めたのが胡春華氏、12年12月から16年8月まで務めたのは王君氏だ。
 
胡春華氏は中国共産主義青年団(共青団)の最高幹部出身で、同じく共青団出身の胡錦濤前国家主席を中心とする「団派」にとっての「ホープ」とされている。現在は共産党広東省委員会書記で、党内の地位は党中央政治局委員(非常任)。
 
王君氏は共青団出身ではないが、出身地の山西省で省長などを務め、重複する時期に共産党同省委員会を務めた団派の重要人物である袁純清氏と密接な関係を構築したとされる。現在は全国人民代表大会民族委員会副主任。ほぼ閑職とみられ、2007年秋から17年秋までは共産党中央委員会委員だったが(第17・18期)、17年秋の第19回党大会で発表された中央委員会委員名簿から名が消えた。
 
習近平政権は2012年の秋に発足して以来、「団派」の勢力のそぎ落としに力を入れている。在任時の内モンゴル委員会に不正があったと断定されれば、胡氏らが責任を追及される可能性も否定できない。(編集担当:如月隼人)
 

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