中国各省の共産党委員会「軍人常務委員」追加が急ピッチ、習近平政権の軍掌握が背景か

中国メディアの新京報は8日、中国各省(中央直轄市、民族自治区)の共産党委員会で2017年末から、常務委員に軍幹部を追加する事例が相次いでいると報じた。習近平政権による、軍の掌握が完了したとの判断が背景にある可能性がある。
 
中国では共産党が政府よりも上位にある権力組織とみなされている。地方政治においても同様で、各地の共産党委員会は地方政府よりも上位にある。例えば、省委員会のトップは書記だが、省政府トップの共産党内での地位は通常、書記の下の副書記だ。
 
中国共産党は2017年10月に5年に1度の全国代表大会(党大会)を開催した。各地の共産党委員会はそれぞれ、2016年から党大会開催までの間に、新たな常務委員(新執行部)を選出した。
 
常務委員会には軍関係者も選出されることが通例だが、新京報によると、同時点では各地の常務委員会名簿に軍人は見当たらなかった。国防部は「軍の調整と改革のため、軍人は暫定的に新たな常務委員会選出に含まれない」と説明していた。
 
12月30日になり、上海市委員会は解放軍上海警備区の政治委員(解説参照)である凌希少将を常務委員として追加したと発表。河北省でも同様の発表があった。
 
1月3日には北京衛戍区(北京首都防衛区)の姜以政治委員が常務委員として同市委員会の会議に出席したと発表された。その後、7日までに中国で31カ所ある省クラス行政区画の内の16カ所(上海・河北・安徽・湖北・遼寧・広西・海南・江西・江蘇・甘粛・山東・広東・湖南・北京・四川・チベット)で常務委員会に軍人が加わった。軍人としての職務は該当地域の政治委員が9人、司令員(司令官)が7人。階級は14人が少将で、北京とチベットでは中将。
 
習近平政権は2012年の発足以来、組織と人事に大きく手を入れることで軍の掌握を進めている。「腐敗」を理由に罪に問われた現職あるいは退任した軍の高級幹部も多い。17年秋の党大会までに各省の常務委員会に軍人を入れなかったのは人事においてまだ流動的な部分があると考えていたからであり、最近になり急ピッチで軍人の追加を行っているのは、軍掌握が完了したとの判断が背景にあると考えられる。
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◆解説◆
政治委員とは、ソ連で1910年代に採用された共産党による軍支配のための制度。ロシア革命直後のソ連軍には、職業軍人が少なく、革命前のロシア軍の将校などを採用せざるをえなかったことから採用された。「司令官の命令書であっても政治委員の署名のない場合、部隊は従ってはならない」「射殺を含めあらゆる手段により反革命分子に対処する権限」などで、将校の反抗を抑え込んだ。
 
中国共産軍も設立当初から軍内に「党代表」を置いた。1929年には毛沢東の主導により「政治委員」に改称。ただし、ソ連においては政治委員が作戦に対する介入は厳禁されていたが、中国では政治委員が作戦に介入することが黙認されていたなど、権限はさらに大きかった。
 
その反面、共産党に反対する軍人は基本的に国民党側などにとどまり、共産党の革命思想に共鳴する者が集まったとの事情があったため、政治委員とその他の将校の関係は、おおむね良好だったとされる。(編集担当:如月隼人)

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