「蔡英文総統の再選を支持しますか?」 中国大陸でアンケ、97%が「支持」と回答する理由とは?

中国大陸のSNS、天涯社区に11日、「あなたは蔡小英の連任を支持しますか?」とするアンケートが投稿された。台湾で2020年に実施される総統選で、現職の蔡英文総統の再選を望むかどうかについての問いだ。17日午前8時半現在、「支持する」との回答が97%で圧倒的に多い。
 
▼ 蔡英文総統は台湾を没落させるから再選を支持
 
しかし寄せられたコメントによれば、大陸において蔡総統の人気が高いわけでは決してない。「再選を強く支持する。台湾が貧乏になり乱れるのはすべて、彼女のおかげだ」「もちろん支持。国民党が政権を取ってひとつの中国を承認したら、台湾を貧乏にするのはよくないからなあ」といった意見が続く。
 
さらに、「台湾が(独立宣言という)レッドラインを超えねば、貧乏でありつづける。レッドラインを超えたら『武力統一』だ。どっちにしろ、国民党候補が統一するよりよい」と、武力統一を想定する書き込みもある。いずれにせよ、感じられるのは、台湾や台湾人に対する強い敵意だ。
 
▼ 中国は武力解放をできず、台湾は独立宣言ができない
 
中国が台湾を「武力解放」しようとすれば、米国との交戦を覚悟せねばならない。米国は国内法である台湾関係法で、台湾に対する武力行使などがあった場合には「適切な行動を取らねばならない」と、武力に訴えてでも阻止することを自らに義務づけているからだ。
 
一方、台湾の行政院(台湾政府)が行っている世論調査では、中国大陸側との関係について「現状維持」を望む人が8割以上に達している。2017年10月に行った調査では、「速やかに統一」は3.1%で極めて少ないが「速やかに独立」も5.1%で少数派だ。
 
一方、「現状維持」は85.2%と圧倒的に多い。最も、現状維持はでも志向の違いがあり、「現状維持。その後、統一に向かう」は11.6%、「現状維持。状況を見て独立か統一を決める」は32.6%」、「永遠に現状維持」は25.0%、「現状維持。その後、独立に向かう」は16.0%だ。
 
台湾では民主主義が定着しており、現状維持派を無視して政権が独立宣言するとは考えにくい状況だ。また、米国も中国との交戦や極端な関係悪化は望んでおらず、台湾の政権に独立宣言の動きがあれば、強力に阻止することは間違いない。
 
▼ 台湾人でも独立求める人は少数派、大多数が「現状維持」
 
注目すべきは、上記世論調査で「現状維持。状況を見て独立か統一を決める」と「永遠に現状維持」と回答した人が5割を超えていることだ。「永遠に現状維持」との回答の真意は「今の状況では現状維持しか考えられない」と理解できる。つまり「情況を見て独立か統一を決めることもありえる」と解釈してよい。
 
中国にとって、台湾の武力統一はあまりにもリスクが大きい。仮に失敗すれば、共産党が威信を失い、政権が「持たなくなる」可能性すらあるからだ。ならば、統一を真に目指すには台湾の民意を引きつけることが不可欠になる。
 
「場合によっては統一を考えてもよい」と考えている人が5割以上存在することは、中国にとって「まずまず」の状況であるはずだ。自らの言葉と行動によって、台湾で統一を前向きに検討する雰囲気を醸成することも、不可能ではないからだ。
 
▼ 台湾人の気持ちを逆撫でしつづける中国
 
ところが中国はこのところ、経済や外交で台湾を締め付けることに奔走している。さらに香港に対する強引な「管理強化」も行っている。これでは台湾政府や台湾人に圧力をかけることはできても、中国への「帰属感」を高めることは難しいはずだ。台湾社会では強引な手法に対する反発と警戒心が高まり、「大陸側と統一してもよいかな。同じ民族だし」との民意が強まるとは思えない。
 
また、天涯社区のアンケートに寄せられたコメントでも分かるように、最近では中国大陸のネット民が台湾に対して「悪意が濃厚」である書き込みをすることも目立つ。台湾人が快く思うはずはない。
 
従って現在の中国の政策は、台湾の独立への動きを表面上は阻止できても、台湾を、さらに台湾人の心を統一に向かわせるものとは言い難い。
 
▼ 中国は本当に「台湾統一」を目指しているのか?
 
さらに考えねばならないことがある。中国大陸側が「本当に統一を求めているか」ということだ。というのは、台湾統一は大陸側にリスクももたらすことだ。
 
というのは、すでに民主的体制を20年以上も経験している台湾社会が中国の一部に組み込まれれば中国人、特に若者の価値観が影響を受ける可能性も否定できないからだ。
 
共産党が最も恐れているのは、権威の失墜とそれにともなう混乱だ。温家宝前首相も、危機感をあらわにしていた。現在の習近平政権が「かなりの背伸び」をしてでも思想の「浄化」を進めているのは、「手綱を引き締めねば、修復不能な状態になる」と認識しているからにほかならない。
 
台湾という「異質の社会」を取り込めば、共産党政権がかえって不安定になる可能性がある。もしかしたら中国側としは、台湾の独立への動きを封じ込めて自らの権威を維持すればよく、実際の統一には現実感を持っていないのかもしれない。とすれば、現在の対台湾政策は「合理的」ということになる。(編集担当:如月隼人)

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