中国各地でGDPなど経済指標を水増し、その手口とは?

新華社は19日、中国各地でこれまで水増しして発表されてきたGDPなど経済指標の下方修正が進められていると報じた。水増しの「手口」も紹介した。
 
天津市は11日、同市浜海新区の2016年におけるGDPを1兆2億元(約17兆2000億円)から6654億元(約11億4000万円)に下方修正した。浜海新区は、国家新区としてGDPが初めて1兆元を突破したとして注目されていた。
 
内モンゴル自治区も1月になり、2016年の公共予算収入を26.3%、規模以上工業企業の増加値(解説参照)を40%下方修正した。遼寧省も2017年初期の団体で、2011年から14年の間に、財政収入を20%近く水増ししてきたと発表した。
 
下部の行政区画に経済指標の水増しがあれば、上部の行政区画の指標も実体より膨らんでしまう。小さな行政区画の「水増し」には、「数字の大胆な改竄」が発生する特徴もある。
 
中国は各省(中央直轄市、民族自治区)が発表するGDPの合計が、全国のGDPを大きく上回る状態が続いている。記事は経済指標の「水増しの手口」は3種があると解説した。
 
まず、政府の財政収入に用いられる「空転」と呼ばれる方法だ。天津市内にあるある国有企業の経営者によると、これまで年末になると市政府関連部門から納税を求められ、年を越してから何らかの名目で「還付」を受ける。
 
中国の地方の指導層は上部からの「業績考課」で、その後の「出世」などが決まる。その中で、経済指標は重要な項目だ。一時期に顕著だったGDPを偏重する傾向はかなり是正されたが、それでも経済指標を「水増ししたい」という誘惑があることには変わりない。地方政府の財政収入も、重視される経済指標のひとつだ。
 
記事は2番目の「水増しの手口」として、「重複計算」を挙げた。大企業の場合、中国各地にオフィスや生産施設を持っていることが普通だ。本来ならば、企業活動にともなって発生する数字は、登記場所のGDP計算だけに使用されるべきだが、企業の施設がある地方が、それぞれGDP計算に使う場合がある。
 
「重複計算」については、故意の場合と技術的なミスによるものがるとされている。
 
記事は3番目の「手口」を「故意の虚報」とした。省による経済指標は、省内にある市などの算出した数字を積み上げて作られる。市はさらに下の県など、県などはさらに下の鎮などによる数字を積み上げる。
 
記事によると、遼寧省のある鎮が、年間の財政収入が160万元(約2750万円)だったが、2900万元(約5億円)以上と報告していた。また、規模以上企業が281社しか存在していないのに、1600社以上と報告していた市もあったという。
 
中国では2000年ごろにはすでに、経済指標の水増しが深刻であり、経済政策において中央政府が判断を誤る原因にもなりかねないとの指摘があった。しかし、なかなか改善されない状況が続いている。
 
習近平政権は国内政治において、さまざまな「浄化」を強力に進めている。代表的な例は腐敗の撲滅や思想統制だ。今後は経済指標の「水増し」の摘発に力が入れられる可能性がある。
 
また、習近平政権は、「腐敗撲滅」を政界における対立勢力の追い落としにも利用している。中国の地方の高級幹部は、さまざまな土地を転任しながら地位を高めていくことが一般的だ。政権にとって対抗勢力である人物の対しては、現在は離任しており影響力の行使がしにくくなった地方について、過去の在職時の経済指標の水増しを暴くことでの追い落としが図りやすいと言える。
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◆解説◆
「規模以上工業企業」とは主たる業務における年間収入が2000万元(約3億4000万円)以上の工業企業。2010年までは基準額が500万元だったが2011年に引き上げられた。
 
「規模以上商業企業」とは、年間売上高が2000万元以上の卸売企業と500万元(8600万円)以上の小売企業を指す。
 
中国の経済統計では、企業に関連する調査の対象が「規模位以上工業/商業企業」、「規模以上企業と国有企業」とされる場合が多い。(編集担当:如月隼人)

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