恐怖の体験…墓地に行ったら周囲にだれもいないのに「泣き声」だけが聞こえてきた

中国では、毎年の春に訪れる清明節(2018年は4月5日)に、墓参りをする習慣がある。新華社は5日、「墓参をしたら、だれもいない霊園から人の泣き声が聞こえてきた」という恐怖の体験をした湖北省武漢市の男性住民の話を紹介した。
夏さんが伯母を亡くしたのは2年前だ。埋葬の場所は江夏幸福山公墓(公立霊園)だった。すでに故人だった伯父の墓に合葬した。その際に、周囲から何か奇妙な声が聞こえてきたような気がした。ただ、大勢の葬儀参列者の話し声にまぎれて、よく分からなかったので、特に気にすることもなかった。
夏さんは昨年(2017)年の清明節に、伯父と伯母の眠る墓に行った。中国語では墓参りを「掃墓(サオムー)」と言う。生い茂った雑草を取り除き、墓をきれいにする。中国の線香は日本よりかなり大きいが、墓前で焚くのは日本と同様だ。中国の場合「冥幣(ミンビー)」と呼ばれる模造紙幣を燃やす人も多い。物故者が「あの世で困らないように」との心遣いだ。
夏さんが墓地に着いたのは早朝だった。時間帯が早かったこともあり、周囲に人の姿はなかった。夏さんは墓前に供え物を並べ始めた。すると、何かが聞こえてきた。伯母を埋葬する際に聞こえてきた声に似ている。さらによく聞いた。話し声ではない。泣き声だ。目に見えない何かが泣いているのか。あるいは墓の中で泣いているのか。
夏さんは「肝っ玉の小さい方」という。だれもいないはずの墓場で泣き声が聞こえてきたことで、肝をつぶした。冷や汗が噴き出した。大慌てで逃げ出した。
帰宅して家族に話したが、だれも信じてくれない。仕方ない。夏さん自身も信じられない「恐怖の体験」だった。
そして、今年の清明節が近づいてきた。夏さんは困ってしまった。夏さんは割と古風な考えの持ち主で、「掃墓」はきちんとしたい。しかし、一昨年と昨年の「泣き声」を思い出すと、動悸が激しくなるほど恐ろしい。そこで、知り合いの記者に「墓に行って様子を確認してほしい」と頼み込んだ。
記者が夏さんの話を信じたかどうかは不明。しかし商売柄、好奇心は人並み以上に旺盛だ。夏さんの伯父・伯母が眠る墓地に足を運ぶことにした。夏さんは、午後になると悪霊に憑かれやすいと思ったのか、「正午前に到着するようにした方がよい」と念を押した。
記者が墓地に到着したのは3日午前だった。まず、管理事務所に行って事情を話した。すると、事務所にいた職員数人が笑い出した。「私たちもね、同じようにびっくりしたことがあったんですよ」と言った。
記者は、職員に「恐怖の泣き声」の発生源に案内された。蓮の花をかたどった台の上に、ソーラーパネルを備えた製品が置いている。製品は絶えることなく「泣き声」を発生させていた。
 
中国では葬儀の際、故人を悼む気持ちを表すために遺族は大声で泣かねばならないとされている。この風習は農村部を中心に、現在も存在する。ただし実際には、「泣き女(中国語では哭葬女=クーザンニュー)」などと呼ばれるプロを雇う場合が多い。
「泣き女」は遺族との短い事前打ち合わせで故人の生前の様子や家族との日常生活の状況を聞く。葬儀の際には故人を悼む気持ちを巧みに盛り込んで激しく泣くので、遺族や参列者が大いにもらい泣きすることも珍しくない。
年長の遺族の死を悼んで泣くことは、中国人にとって極めて大切な道徳観である「孝」を示すことだ。清明節の墓参の際に泣き女を雇うことはあまり聞かないが、先祖の墓に「電子泣き女」を置いた人は、365日を通じて泣き声を絶やさないことが供養になると考えたようだ。
墓地を取材した記者は、「夏さんは肝が小さいと責めるわけにもいかない。墓参りの時に、そんな声が聞こえてきたら、だれだって驚くだろう。もっとも真相が判明したので、夏さんももう怖がらないはずだ」と文章を結んだ。(編集担当:如月隼人)

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