中国共産党に「何らかの動き」か…北京で習近平主席ポスターなど撤去、人民日報からも名前消える

 
 
中国国外に拠点を置く華字メディアによると、中国共産党内部で「何らかの動き」が発生している可能性がある。北京市内の不動産管理業者に対して習近平国家主席の肖像などの宣伝品の掲示を撤去するよう指示があったとする情報や、人民日報第1面では5年ぶりで「習近平」の名が見られなかったとの指摘がある。
まず、「異常事態」とされたのは、9日付の人民日報の第1面に、5年ぶりに「習近平」の名が見当たらなかったことだった。一方で、ドイツ・ベルリンに到着した李克強首相の話題が、写真付きで掲載された。
さらに、新華社系ニュースサイトの新華網が11日、華国鋒元主席(1921-2008年)が中国共産党中央紀律委員会の取り調べを受け、自らに対する個人崇拝を進める動きをしたことは「間違いだった」と認めたとする文章を掲載したことも注目された。文章は中央紀律委員会の黄克誠書記(同委トップ)による、個人崇拝に対して厳しく調査するとの考えも載せている。
黄書記の発言は1980年のものだったとされる。記事は中国共産党のエリート育成機関である中央党校の機関紙である「学習時報」の記事の再掲載だった。今になり「華国鋒批判」を紹介する必然性はなく、2012年に共産党総書記に就任して以来、独裁体制を強化し事実上の個人崇拝を進めてきた習近平主席への批判との見方が発生した。
さらに12日では、北京市内の不動産管理会社が受け取った「警察の緊急内部通知」とされる文書がインターネットで広がった。同文書は、「習近平同志の写真や絵を使ったすべての宣伝ポスターをただちに撤去せよ」との内容だった。ただし、同通知が本物であったかどうかは確認されていない。
これまでの例として、秘密主義の強い中国共産党の上層部の権力闘争は直接に表面化することはなく、「まず、何らかの波紋が水面にあらわれる」という経緯をたどってきた。そのため、一連の「異変」が共産党上層部における権力闘争の激化を反映したものとの見方も出ている。ただし現在のところ、断定できる証拠はない。
一方で、「米国との貿易戦争も辞さず」とする習近平政権の経済政策姿勢については、政府内部からも批判が出ているとの情報も出ている。ただし、香港の「習近平系」とされるメディアに対して、「情報筋」とされる人物が、習近平主席はトウ小平氏の「韜光養晦」を放棄していないと話したとされる。この場合「韜光養晦」とは、「中国として実力をいたずらに誇示せず、先進国に警戒心を持たせずに自らの発展に専念する」ことを意味する。
同人物は、習近平主席の強気の外交方針として注目を集めた「有所作為(するべきことがある)」との言い方は、メディアの誤解にもとづくものとも述べたという。
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◆解説◆
習近平政権の発足以来、中国は南シナ海の問題などで米国の対決姿勢を強めるなど、少なくとも一時期は、強硬路線をあらわにしていた。現在に至っても「韜光養晦」や「有所作為」が取沙汰されることは、習近平主席の政治姿勢や、その政治姿勢が経済にもたらす影響についての懸念が存在するからと考えられる。
中国共産党は文化大革命終了以来、特に1990年代以降は、経済成長を実現させて国内に現体制を納得させることで、政権基盤を安定させてきた。「経済でしくじったら、政権がゆらぐ」との認識は、党上層部に共通していると言ってよい。
また中国では、毛沢東時代への反省もあり個人崇拝はタブーだった。さらに正確に言えば、「個人崇拝を企てている」との批判は、政敵にとって大きな“武器”となった。「最高実力者」と呼ばれたトウ小平も、江沢民元主席も、胡錦濤前主席も、指導者としての威信を大いに誇示する一方で、個人崇拝とまでは言われないよう、微妙なバランスの維持に腐心した。しかし習近平主席は、暗黙の了解だった「限界」を逸脱しているように見える。
外交での「逸脱」、思想面での「逸脱」を重ねている習近平政権は、絶大な権力を掌握したように見えつつも、多くの人に「これで大丈夫か」との漠然とした不安を抱かせていると言う点で、不安定な側面が存在すると言わざるをえない。(編集担当:如月隼人)

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