中国で「習近平礼賛」が急速に後退、絶賛スローガンの使用禁止も…北戴河「神仙会議」と関連か

 
ラジオフランスの中国語サイト「世界之声」は22日、中国で習近平共産党総書記(国家主席)を礼賛する宣伝が、急速に後退していると報じた。一部スローガンの使用禁止なども通達されているという。街頭に掲示された習総書記の肖像の撤去も続いているという。一連の動きは8月に開催される共産党高級幹部が非公式に行う北戴河会議に関係している可能性がある。
北京市順義区はすでに、特定のスローガンを指定して、該当するスローガンを使用した政治宣伝の看板を20日までに完全に撤去するよう通達した。指定されたスローガンは「初心を忘れず使命を銘記」「行動の指針は習近平による新時代の中国の特色ある社会主義」「習近平同志を核心とする共産党中央の周囲にさらに緊密に団結しよう」「第19回党大会の精神を深く学習、貫徹しよう」など。いずれも習近平総書記に深く関係するスローガンだ。
また、米中貿易戦争の本格化に伴い、共産党や政府関連のメディアに「中国製造2025」の用語を禁止するとの通達もあったという。さらに、一時期は盛んに使われていた「すごいぞ、わが国」のスローガンも見られなくなった。
また、共産党機関紙の人民日報は7月になってから、中国では近年になり「自画自賛の浮かれた文章」が多く見られるようになったマスコミ人や学者による文章を3回掲載した。
さらに、新華社系のニュースサイトである新華網は1980年に発表された、華国鋒元主席の「個人崇拝」の問題を指摘する文章を掲載した。同文章は、同時点で当時の関係者が「共産党中央は、今後20-30年代に渡り現職指導者の肖像を掲げない。個人崇拝の影響を除去するためだ」と語ったと紹介した。
同記事掲載については、メディアや街頭に習近平総書記の肖像が大量に掲示されるようになった現状を批判するため、古い記事を意図的に行ったと見る人も多い。
順義区の関係者は、該当における宣伝看板の撤去が、共産党の「上級の意思」を受けたものであり「順義区が単独で行ったものでなく、北京市としての統一措置」と説明。ただし、それ以上の具体的な説明は拒否したという。
問題は、この時期になってなぜ、習近平氏の権威を強調する政治宣伝にブレーキがかけられたかということだ。世界之声は8月に河北省の避暑地である北戴河で開催されると見られる共産党の高級幹部による非公式会合、いわゆる北載河会議との関係している可能性を示唆した。
北戴河会議は非公式という性格もあり、参加者情報も含め、状況が発表されることはない。ただ、共産党高級幹部は北戴河滞在中にさまざまな会合を行い、論争と調整、妥協、数合わせなどを行い政策や人事の方針を決定するとされる。
中国政府の重要方針は事実上、非公式の北戴河会議で決まり、微調整を経て翌年秋の全国人民代表大会で正式発表・決定の運びになるとされる(5年に1度の秋の党大会がある年には、党大会でまず決定)。
北戴河会議については、中国共産党と政府の方針を決定する重要な政治イベントでありながら実態が分かっていないことから、世界之声は同会議を「北戴河神仙会議」と形容した。
一連の動きをみると、中国共産党上層部で習近平政権のあり方を問題視する意見が強まっている可能性がある。ただし、「習近平礼賛」の後退が批判に浴びた結果なのか、政権側が先手を打って批判の口実を消去しておいてから、新たな攻勢を目指しているのか、政権基盤についての判断は難しい。(編集担当:如月隼人)

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