中国内陸部、青海湖でもだえ苦しむ日本人

今回は、人に聞いた話です。


中国に留学している日本人は、冬休みとか夏休みには、中国各地に旅行することが多い。日本に一時帰国する場合ももちろんありますが、お金がかかってしまう。中国国内だと、かなり安くすますこともできます。

私の知っているその日本人留学生は、青海湖に行くことにしました。中国内陸部にある大きな湖。面積5694平方キロメートルというから、日本の47都道府県の大きさで言えば24位の茨城県や25位の三重県よりは小さく、26位の愛媛県よりちょっと大きいぐらいですね。ちなみに、あの琵琶湖がある滋賀県は4017平方キロメートルです。

あ、ついでですが、琵琶湖の面積は670平方キロメートル、つまり滋賀県全体の6分の1ぐらい。滋賀県というと、「ほとんど琵琶湖」みたいなイメージがありますけどね。え? 勝手にイメージしていたのはお前だけだって? すみません。

青海湖の話にもどします。たたえている水には塩分があるので塩湖に分類されますが、米国のグレート・ソルトレイクに次ぐ世界第2の大きさの塩湖です。塩湖というのは、周囲の河川が流れ込んで、出口がないということです。考えてみれば、小さな海みたいなもんだ。高原にひっそりとたたずむ小さな海。名前もいいじゃありませんか。青い海の湖。神秘的ですねえ。


そこにたどり着くまでは大変です。今では中国の鉄道は、在来線もスピード・アップされましたが、北京から最寄りの西寧駅まで当時は丸1日半ぐらいかかったんじゃないかなあ。

さて、私の知り合いの日本人留学生は、とにもかくにも西寧までたどりついた。安宿に泊ると、同じく青海湖を目指す日本人が何人かいた。留学生とかバックパッカーで、お金はないが自由な旅を楽しむ人たち。さっそく意気投合して、5、6人でタクシーをやとって、青海湖を目指すことにした。


翌朝のことです。駅周辺にいたタクシーの運転手さんと交渉して料金を決めた。メーターなんかは関係なし。タクシーといってもワゴン車。全員が乗り込んだ。西寧から青海湖までの様子はよく聞きませんでしたが、まあ、悪路の連続だったことに間違いない。

荒涼たる風景の中を進んでいく。どこまで行っても、同じような景色が続く。いったい、いつまで乗っていればよいのだと全員が思いだしたころ、運転手さんが車をとめた。道の横の方を指さして「車はこれ以上入っていけない。青海湖はあっちだよ。行っておいで。待っているから」と言ってくれた。

見ると確かに、ぽつぽつ生えている草の向こうに湖面らしきものが見える。一同、大感激。

「やっとついた!」と大はしゃぎ。だれともなく、走り出した。湖面目指して駆けた。ところが、全員がしゃがみこんでしまった。「く、苦しい~!」――。

青海湖は海抜3205メートルの場所にあります。空気が薄い。それまでは自動車に乗っていたから意識はしなかったのですが、走り出したとたん、酸欠状態になってしまったのでありました。

しばらくしゃがんで激しく息をしてから、ようやく立ち上がり、ゆるゆると歩いて旅の目的地の青海湖にたどりついたそうです。「あんなに苦労して行ったのに、感動がかなり薄れてしまった」とのことでした。

みなさんも、中国の奥地に行かれる場合には、その土地の標高のことをお忘れなきように。酸欠や高山病には、十分にお気をつけください。私の別の知り合いに、彼女とチベットに行ったのはよいのですが、ラサのホテルで死にそうな目にあったと告白した男性もいます。