北京のトロリーバスの思い出…あの「ガッコン、ガッコン」も人民の知恵だったのか

私が北京に長期滞在したのは1990年前後の数年間。今となっては、またまた古い話で恐縮です。でも逆に、今となっては接しにくいことをご紹介することも、無意味ではないと思う。
今回、ご紹介するのは北京市で体験したトロリーバスです。初めて乗った時に、発車など走行時の「ガッコン、ガッコン」という感覚に驚いた。何度か乗るうちに、割と混んでいて運転台のそばに立って操作方法をとくと拝見する機会があったので、分かったのですね。
運転操作は実にシンプルだった。足元にあって、自動車のアクセルに相当するのは、電力をオン・オフにするスイッチ。踏めばオンで加速、足を放せばスイッチがばね仕掛けで跳ねあがって、推力はなくなる。足元にあるのは、ほかにはブレーキ。手で操作するのはハンドル。
一般的な自動車とは違い、クラッチなどで発動機の回転を現在の走行状態に合わせて活用する仕組みはなし。推力の採用は電力スイッチのオン・オフのみ。これじゃあ、ガッコン・ガッコンするわけだ。
ただ、ガッコン・ガッコンのトロリーバスを体験して、感動したのも事実。当時の中国とすれば、大都会で人民を移動させるのが至上命題だったわけですから。石油資源には極端に乏しかったから、石炭火力や水力の電力でなんとかする必要があった。
中国の強みのひとつは、「その場かぎりでもなんでもよいから、問題を解決する力」と思っています。とりあえず解決できれば、その後のことは別途考えればよい。「ごちゃごちゃ考えず、とにかく目前の問題を解決せよ」という意識の徹底です。
典型的なのは、トウ小平の市場経済導入でしょうかねえ。大成功した。中国式の方法では、後になって想定外の問題が肥大して苦しむことはあるのですが、「とにかく目前の問題を解決。問題が出たら、その時に考える」という中国人の思考パターンを、「ガッコン、ガッコンのトロリーバス」から感じてしまったというわけです。(編集担当:如月隼人)