「読まない読者」の多さに戦慄、スマホ/SNS時代の恐ろしさ

こんな記事を見かけました。
「対抗措置は非生産的」=徴用工賠償、基金で対応を-元韓国外相「対抗措置は非生産的」=徴用工賠償、基金で対応を-元韓国外相
日韓関係は緊張しています。いわゆる慰安婦問題については2015年の日韓政府による最終合意が韓国側により事実上破棄され、「和解・癒やし財団」の解散の方向になった。韓国最高裁は終戦までの「徴用工」問題で、日本企業に賠償を命じる判決を続けている。
韓国の孔魯明元外相(86歳)に取材した時事通信の上記記事がSNSに投稿されると、非難のコメントが相次ぎました。「ふざけるな!」「ここまで図々しいタカリは見たことがない」などです。
このところの韓国の動きを腹に据えかねてる人が多いのは理解できる。でも皆さん、孔元外相の発言、つまりリンクが張られている記事を読んだのだろうか。
孔元外相の発言でまず重要なのは、いわゆる慰安婦問題も徴用工も「韓国の国内問題」という指摘です。徴用工への支払いのために設立する基金ですが「韓国政府と韓国企業が資金拠出」との主張です。孔元外相は、「韓国政府は『(1965年の)請求権協定で請求権の問題は解決された』という立場を取ってきたとも説明しています。つまり、「今になって日本に請求するのはおかしい」と示唆しているわけです。
同基金と日本側の関係については「日本企業も加われば、和解のためにはよい」との意見で、「加わるべき」とも言っていません。あくまでも韓国側の責任と負担において問題を処理すべきとの考えです。
元慰安婦の問題についても「合意反対派」について、「元慰安婦全体の意志ではなく、一部の意志」と指摘し、その一部の「合意反対派」の立場が文政権に受け継がれたと論じています。孔元外相が同問題で、文政権のやり方に批判的であることは明らかです。
孔元外相は日本の動きについて、「対抗措置」を取った場合「よい結果につながることはない」と主張しました。韓国社会で生きる以上、言葉を慎重に選んだと思われますが、発言全体の流れからは「韓国側に問題がある。ただ、日本には“大人の対応”をお願いしたい」との考えと読み取れます。
孔元外相は一連の問題について日本側に対して「心のゆとりを持つのが望ましい」とも発言しました。この部分からも「韓国側は心のゆとりを持てない状態」であることを認め、「難しいかもしれないが、日本ならば心のゆとりを持てるはず」との見方、つまり「日本社会の方が成熟している」との意識が読み取れると思うのですが、どうでしょう。
孔元外相の主張に対しても賛否はあるでしょうが、私は一考に値する穏当な主張と考えます。ただ、SNSでの反応を見る限り、「韓国人の発言」というだけで内容を知ろうともせずに頭から反発している人が多いと思えます。
私のように記事を書いている立場からすれば、戦慄すべき状況です。自分の考えを手っ取り早く広く拡散できるSNSの隆盛に伴い、情報の本当に表層部分だけが取り上げられる現象が猛加速しているように思えます。誤解や無理解による情報が、どんどん拡散してしまう。
スマートフォンの普及も大きく影響しているでしょうね。情報を仕入れるにも発信するにも、たしかに実に便利です。ただ、スマートフォンを主に使って情報をしっかりと吟味することは、とても難しいのではないでしょうか。情報に対して反射的に反応することが過度に助長されてしまうように思います。
記事を発信する側とすれば、見出しの設定に始まり、いかにして最後まで読んでいただけるか、あるいは冒頭部分を読んでいただくだけでも主要な論点を理解していただけるように工夫せねばならない。記事書きの技術力が、これまで以上に求められているのだなあと痛感する次第です。