中国・習近平主席が改めて「台湾統一」を呼びかけ「台湾同胞に告げる書」発表40周年

 
中国の習近平国家主席は2日、「台湾同胞に告げる書」発表40周年記念会で、台湾に向け改めて統一を呼びかける演説を行った。
習主席は、台湾問題について「民族が弱く乱れたことで発生した。民族復興に伴って(分裂状態は)終結されねばならない」と強調。さらに中国大陸側が提出した「平和統一、一国二制度」こそが国家統一のための最もよい方式であり「海が多くの川を受け入れるように懐の深い中華の知恵。台湾の現実状況を十分に考慮しており、統一後の台湾が安定を永続させるためにも利がある」と論じた。
習主席はさらに「平和統一の跡には、台湾双方の社会制度と生活方式は十分に尊重される。台湾同胞の個人財産、宗教心情、合法的な権益は十分に保障される」と述べた。
習主席は「われわれは再び丁重に提案する」として、中国側と台湾側が1992年に達成した合意とされる「92コンセンサス」を堅持し、台湾独立に反対するという共通の政治的基礎の上に、両岸の各政党、各界が推薦する代表的な人物が、両岸関係と民族の未来のために広く深く民主的な交渉を行い、両岸関係の平和的発展のためのための制度を構築することを呼びかけた。
統一までの過程については「中国人は中国人を討たない。われわれは最大の誠意をもち、最大の努力を尽くして平和統一という将来を獲得したいと願う。なぜなら平和統一は両岸の全民族にとって、最も利があるからだ」と論じた上で「武力を放棄することは承諾しない。必要なすべての選択肢は保留する」と述べた上で、武力は「外部勢力の干渉とごく少数の台湾独立分裂分子およびその分裂活動に向けたものである、台湾同胞に向けたものでは絶対にない」と主張した。
習主席は、「ひとつの中国」こそが、「国際関係の準則であり国際社会の共通認識」と強調。「中国人のことは中国人が決定する。台湾問題は中国の内政であり、中国の核心的利益と中国人民の感情に関することであり、いかなる外部からの干渉も受け入れない」と論じた。
また、「中国の統一は台湾の経済利益を含め、いかなる国の正当な利益にも損害を与えない。各国にさらに多くの発展のチャンスを与え、アジア太平洋地区と世界の繁栄と安定にさらに多くのプラスのエネルギーを与え、人類運命共同体の構築と世界の平和的発展と人類の進歩という事業のためにより大きく貢献する」と論じた。
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◆解説◆
1979年1月2日に発表された「台湾同胞に告げる書」は全国人民代表大会(全人代)常務委員会の名義で発表されたもので、統一を目指し軍事対立の終結と両岸三通(通商・通航・通郵)、台湾海峡両岸の交流拡大などを訴える内容だった。同時に中国軍は1958年以来から断続的に続いていた金門島への砲撃を停止すると発表した。
台湾側は無視したが、戒厳が解除された1980年代末期からは、台湾住民の香港経由による中国大陸への観光や親族訪問が許可され、2000年代には「三通」実現への模索が具体化し、2008年に台湾・馬英九政権が発足すると「三通」が実現し、中国大陸と台湾の経済におけるつながりも緊密化した。
したがって、同「台湾同胞に告げる書」はその後の中国大陸と台湾の関係の「ガイドライン」の役割を果たしたと言える。なお、中国大陸側は1950年から58年にかけて同名の文書をしばしば発表したが、実質的な効果はなかった。そのため「台湾同胞に告げる書」は通常、1979年に発表された同文書を指す。
習近平主席の2日の演説の内容は、これまで何らかの形で表明されたものであり、特に画期的な内容は見当たらない。中国側として、大陸と台湾の統一を目指す姿勢にいささかなりとも変更はないとの大原則を改めて強調したと理解できる。
台湾の世論調査では、中国大陸との関係について「現状維持」を望む人が圧倒的に多い状態が続いている。経済が発展し、各種の自由が認められた社会にあっては「現状維持」を望む人が多いのは当然の現象と理解できる。「独立」を求める人が少ないのは、実際に独立を宣言した場合、中国の介入を必然的に招き、結果として「現状維持」も不可能になると考えているからと理解してよいだろう。
2017年に蔡英文政権が発足して以来、中国はさまざまな分野で台湾に強烈な圧力を加え続けた。台湾の多くの人々が「このままでは現状維持も難しい」と考えるならば、2日の習近平主席の演説が、台湾の人々の「大陸側の提案をもう一度考えてみよう」と気持ちを強める意味で、台湾の民意に影響する可能性も否定できない。(編集担当:如月隼人)