「ラジャー!」(=了解)の語源は中国語という説がある

2019年1月20日

寝る時には、何か本に目を通すことにしています。重い本は腕が疲れるので、新書や文庫が多い。ということで、昨晩に読んだのは「英語の質問箱 そこが知りたい100のQ&A」(里中哲彦著 中公新書)。2頁見開きでひとつのQ&Aを完結させる構成なので、気楽に読める。

4分の1ほど読み進んだところで、<「ラジャー」って何?>という項目があった。語源は無線通信で「受け取った」を意味する<received>の頭文字の<R>を通信符号で<Roger(ラジャー)>としたことにちなむ。とのことでした。

通信符号というのは、アルファベットを使う際に、聞き間違えを防ぐために、各文字に対応させる特定の単語のことです。<A>だったら<Alpha(アルファ)>、<B>だったら<Bravo(ブラボー)>、<C>だったら<Charlie(チャーリー)>のように。ただ、現行の通信符号では<R>に対応するのは<Romeo(ロメオ)>となっている。

通信符号の歴史を調べたところ、英国海軍が1914年に作ったものがあるらしい。それまでモールス符号に頼っていた通信に、音声による会話が取り入れられたころだったのかな。英国空軍は1924年に制定して43年には改訂したそうです。それとは別に、米軍は1941年に制定。その語、NATO統一の通信符号が1956年に定められ、現在まで続いています。

<R>については、英国海軍版と英国空軍の24年版は<Robert(ロバート)>、英国空軍の43年版で<Roger>となり41年の米軍版でも<Roger>。56年のNATO版で<Romeo>になりました。このあたりの変遷は、当時の英語における「よく使われて分かりやすい単語」が反映されているのかな。研究すると面白いテーマかもしれない。

ちなみに<Roger>は男性名であり、ゲルマン語の「槍の名手」が起源だそうです。人名としての日本語表記は「ロジャー」とする場合が多いですね。

まあ、通信時の「了解!」として<Roger>が生き残ったのはよかったかな。「1番機! 不審機は8時方向に急速旋回中。ただちに追尾せよ!」なんて指令には力強く「ラジャー!」と応答していただきたい。

緊迫する空の現場で「ロミオ~!」なんて返信が返ってきたら、なんだかシェークスピアの悲恋物語みたいにならないだろうか。こちらも「おお、いとしのジュリエット!」なんて言いたくならないだろうかと心配だ(もっとも現行の通信符号ではでは<J>に<Juliet>を対応させています)。

それはさておき、「英語の質問箱」には<Roger>について、面白いことが書かれていました。

「Rogerになった理由は、『了解を意味する中国語の方言だという説があります」とのことです。

ううむ。「了解」かあ。だったら普通話(標準中国語)でも<liăojiě>だ。「リァオヂエ」→「ラジャー」という説かな。ただなあ、中国語ではとりあえず、LとRをきちんと区別するからなあ。ちょっと無理っぽいかも。里中先生も同説について疑問を残し、「詳細は不明」と書いています。

英語なんかを扱った中国のサイトを見ると、<Roger>の意味が「収到了(Shōudào le、受信した)」、「知道了(Zhīdao le、分かった)」などと紹介されています。