夜に突然やってきた…最初はそんなつもりはなかったのに、結局はベッドの上で絶叫させてしまった

まさかの展開でしたね。いきなり夜、私の部屋にやってくるんですから。しかも、無言で私のベッドの上に陣取った。何を考えているのか、よくわからない。これまで、特別な関係があったわけじゃありませんからね。


本当です。なにかしようというつもりはなかった。ところが1時間後、絶叫させることになってしまった。私も度胸をきめて、相手をベッドに抑えつけることに……。あの声の大きさでは、ご近所の皆さんもまる聞こえだったろうなあ。


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帰宅すると、まず部屋の空気を入れ替えます。すぐに空調をつけたくなるほど暑くても、こればかりは仕方ない。


その日、私はかなり遅く帰った。あたりは真っ暗。例によって、ベランダに出るガラス戸と窓を開け放つ。扇風機をつけて、部屋の天井近くの空気も効率よく入れ換わるようにする。


すると、外から何かが飛んできた。部屋の中を壁にぶつかりながらひとしきり飛びまわって、ちょうどベッドの上の壁に止まった。ありゃりゃ。セミだ。


どうしよう。しばらく見ていたのですが、放置することにした。私は帰宅後すぐに、その日のニュースをPCでチェックすることにしている。いつも通りの作業をすることにしました。


とは言っても、気になる。ときどきベッドの上の壁を眺める。動いていない。奴もこちらを観察しているのか。でも、少しも動きません。何を考えているのだろう。


約1時間が経過。このままひと晩をともにするのも、なんだしなあ。軽くつけていた空調を切って、ガラス戸と窓を再び開けた。明るい部屋から暗い外に飛んでいくことはないだろうと思い、部屋の照明を切りました。部屋の外に出て、台所仕事なんかをして約30分が経過。


そっと戻って部屋の灯りをつけた。あちゃあ。まだそこにいる。私が机に向かうと、セミの止まっている壁は死角になって見えない。ふたたびPCで作業をすることにした。するといきなり


「ミーン、ミーン、ミーン、ミーン、ミーン、ミーン」――。


部屋の中でセミが鳴き出すと、こんなにうるさいとは知らなかった。改めてとまっている壁に接近すると、鳴きやんだ。ううむ。こうなったら強制排除しかないないあ。脱いだシャツを広げてそろそろと接近。当方自慢の“敏捷なる運動神経”を総動員して、ベッドの上に押さえ込んだ。奴はシャツの下で「ジジジジジ」とうめいている。大成功。


シャツでくるんだ。ベランダに出た。背後のガラス戸を閉めた。シャツを振り回すと、セミは暗い夜空にいずこともなく飛んで行きました。ああ、疲れた。