中国の「豚コレラ」は人災、当局関係者が賄賂と引き換えに感染した豚の出荷認めるケースが横行

米国に拠点を置き、中国政府に批判的な記事を多く配信している阿波羅新聞(アポロ・ニュース)は2日、中国でのアフリカ豚コレラの流行は「人災が7割、天災が3割」と主張する記事を掲載し、業界関係者からの話として、賄賂を受け取り感染した豚の出荷を認める当局関係者の実態を伝えた。
中国政府も3月1日に、アフリカ豚コレラに絡む犯罪が10件発生したとして「当局側獣医に規則に違反して検疫証明の発行を依頼する犯罪が目立つ」と発表していたが、手口など犯罪行為の具体的情況はは伝えられていない。
記事は中国の業界関係者の話として、広東省肇慶市では、公的な家畜検疫組織である獣医ステーションの関係者が、豚1頭当たり5000元を受け取って、虚偽の検疫証明を発行していたと紹介した。
また、記事によると、中国の農村部にいる獣医は多くの場合、獣医としての教育を受けたわけでなく、担当地区での豚の売買を管理しているに過ぎないという。豚の出荷の際には販売予定の豚を動画撮影して獣医ステーションに転送して健康を「診断」してもらうだけという。
特定地区でアフリカ豚コレラと見られる豚の病気が発生しても、獣医ステーションが担当を派遣して殺処分を行うわけではない。そのため、発生地区では大急ぎで買取り業者を呼び寄せ、発症していない豚を売る。そのため、輸送中に死ぬ豚が発生している。
地方政府も財政が厳しいために、殺処分に伴う補償金を飼育業者に支払うのを嫌がり、業者に対して「売れるものは売ってしまえ。残った豚だけ処分する」と指示する場合もあるという。
また、阿波羅新聞が紹介した業界関係者によると、政府はアフリカ豚コレラの感染についての簡易検査を必須事項としたが、検査結果の確度は66.7%と低く、「陰性(感染していない)」と判断されても、すぐに発症して数日後に死んでしまう事例もある。そのため、感染した豚が出荷されて、そのまま消費者の食卓に上る例も数多いと考えられるという。
なお、アフリカ豚コレラは人には感染しないとされているので、感染した豚が食肉に加工されても、人への健康被害が出るとは考えにくい。ただし、感染した豚を移動させれば、流行がさらに拡大する可能性は飛躍的に高まることになる。
記事によると、アフリカ豚コレラ感染の精密な検査を行うことができる実験室は、検査を受けつけなくなった。政府から「アフリカ豚コレラの感染を再発させるな」との明確な指示があるために、「検査をして陽性が出たら、取り扱いに困る」との理由で、検査をしなくなったという。
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◆解説◆
賄賂により虚偽の証明を発行するのは論外。中国中央政府も同犯罪行為の多発を認めているだけに、今後は摘発が相次ぐ可能性もある。養豚の現場に行きわたらせることができる簡易検査キットの信頼性が低いことには、同情せざるをえない部分もある。技術の進歩が追いていないことや費用面の問題などの諸条件の関係で、すぐには解決できない面もあるだろうからだ。
特に気になるのは、政府の「感染を再発させるな」との指示で、設備が整った施設が検査を停止していることだ。事実とすれば、病気流行の実態に目をつぶり、「政策目標は達成された」との成果だけが喧伝される構図だ。1958年から61年まで実行され、中国共産党上層部には全国各地から「大豊作」との報告が相次いでいながら、実際には人災と天災が重なり、その後の公式推計でも1500万人、研究者によっては数千万人の餓死者が出た「大躍進」時代の政治風土が今も残っているとしか思えない状況だ。(編集担当:如月隼人)