階段の上のピピッピッポパ

いつからかは分からないのですが、駅の階段の登る部分とか降りはじめるところで、鳥の鳴き声が聞こえるようになりました。特に、利用者が多い階段ですね。なんのためか説明を書いた表示は特にないのですが、たとえば目の不自由な人が転倒しないようにとの配慮じゃないかなあ。


私は、ああいう「親切心からの音出し」があまり好きじゃない。そんなこと、いちいち注意されなくても分かるわい、とアマノジャクになってしまう。でもまあ、世の中には目の不自由な人もいるのだから、階段のところの鳥の鳴き声ぐらいは容認すべきなのかもしれません。


ところで、だいぶ前に気づいたんですけど、私が通勤に使う地下鉄の駅の階段のところで、鳥の鳴き声に交じって、別の音がする。「ピピッピッポパ」てな風に聞こえる。電子音です。


「ピピッピッポパ」が聞こえるのは、その階段だけ。それも、聞こえる場合と聞こえない場合がある。そして他の階段では、鳥の鳴き声は聞こえても、「ピピッピッポパ」はない。


そうですね。その電子音が聞こえる場所は、こんな構造になっています。ホームの端に階段があって、登っていく。登りきったところを右折するとすぐに改札です。改札を出ると、他の線に乗り換えるための、わりと広い地下通路です。


階段部分は吹き抜けになっていて、上の天井は改札や通路部分の天井の続き。上の階の通路には、階段に転落しないように手すりが設けられています。


毎日のように利用するのですが、「ピピッピッポパ」については、「ここだけ、特別な音を加えているのかな」程度にしか思わなかった。


ところが、この間、その階段上の通路を、買い物のためにいつもと違う経路を歩いて、「ピピッピッポパ」の正体が分かってしまった。階段の上の通路の階、転落防止の手すりを背もたれにするように銀行のATMが置かれていた。ううむ。そうであったか。


ATMに入力する時の電子音でした。だれかが利用してATMを操作すると、「ピピッピッポパ」と音がする。


考えてみれば、「ピピッピッポパ」は聞こえたり聞こえなかったりするのですから、階段の存在を知らせる鳥の鳴き声とは別の由来と気づくべきであった。気づいたならば、ただちに音源を確認すべきであった。


商売上、「何か普通とは違うこと」とか「奥底に真の原因が隠されていること」には敏感であるように努めているつもりなんですが、これは迂闊だった。「特殊状況」に毎日接していながら、何も考えていなかった。私もずいぶん未熟であるなあと、反省したのでありました。