東アジア今日は何の日:9月5日~プロ野球、王貞治選手に国民栄誉賞を授与(1977年)

1977年9月5日、福田赳夫首相は、プロ野球・読売ジャイアンツ(巨人)に所属する王貞治選手に国民栄誉賞を授与した。同賞を発案したのは福田首相で、王選手の通算本塁打数が世界最高記録を達成したことを受け、「広く国民に敬愛され、社会に明るい希望を与えることに顕著な業績があったものについて、その栄誉を讃えること」を目的として創設された。
 
王選手は1940年に東京都内で生まれた。父親の王仕福さんは浙江省出身で、1922日に渡日した。母親は富山県出身の登美さん。一家は中華料理店を営んだ。王選手は子どものころから体格がよく、小学生の時には横綱・吉葉山から力士になることを勧められたという。
 
中学生の時には、地元で結成された高校生主体の野球チームに参加した。毎日オリオンズの選手だった荒川博さんが王選手のプレーを偶然に見て、素質を見抜いたという。
 
王選手は荒川さんの母校だった早稲田実業学校高等部に進学した。野球部では投手として活躍するようになった。2年生だった1957年の春の甲子園大会では優勝投手になった。同年夏の大会では準優勝。春、夏の大会ともに、ノーヒットノーランを達成している。58年の春の大会では、打者としても活躍し、2試合連続本塁打を放ったが、チームは準々決勝で敗退。夏の大会は、東京都予選決勝で敗れ、甲子園への出場はならなかった。
 
なお、高校在学中に王選手は、チームが国民大会に進出したにもかかわらず、中華民国国籍だったために出場できなかった(その後、国体の国籍規定は撤廃)。
 
王選手は野球の人気がある台湾でも「英雄」とみなされており、台湾を訪問する際には毎回、大歓迎されている。しかし王選手の父の仕福は浙江省から直接、日本に生活の場を移したのであり、王選手は日本生まれだ。したがって、王選手および家族に、台湾とのゆかりが特にあったわけではない。
 
王選手は1955年にプロ野球の巨人の入団。背番号の「1」は、「王」の中国語読みが「ワン」であることにちなむとも言われている。入団後すぐに、投手から野手に転向することが決定。本人も、投手としての限界を感じており、投手をあきらめたことを「未練はあった」「一方でほっとした」と述べている。
 
その後、長距離打者としての才能を開花させ、時期により調子の波はあったものの、本塁打や打点を重ねた。現役を引退した1980年までに記録した1967得点、868本塁打、5862塁打、2170打点、2390四球、424敬遠、出塁率.446、長打率.634は、いずれも日本プロ野球史上第1位だ。
 
王選手の通算本塁打数が特に注目されたのは1976年に、伝説的強打者として日本でも知られる米大リーグのベーブ・ルース選手の記録だった714本に近づいたころからだった。王選手は同年10月11日の試合で通算715号のホームランを放ち、ルース選手の記録を抜いた。
 
1977年にはプロ野球開幕当初から、米大リーグのハンク・アーロン選手が持つ755本の記録超えが話題になった。アーロン選手の記録に並んだのは8月31日の試合で、9月3日の試合では756本を達成した。2日後の9月5日には、福田首相から第1号の国民栄誉賞を授与された。同年のホームラン数は50本に達した。
 
国民栄誉賞を受賞した野球関係者としては他に、連続試合出場最多(2031試合)を達成した衣笠祥雄選手(1987年)と、松井秀喜氏、長嶋茂雄氏。松井氏はジャイアンツから大リーグに移り、現役を引退した後の2013年5月5日に受賞。長嶋氏も同時に受賞した。当時、プロ野球を大いに盛り上げ、国民的スタートも言われた長嶋氏が国民栄誉賞を受賞していないのはおかしいとの声も出ていた。
 
米国では、王選手のホームラン数はあくまでも「日本記録」との認識で、「世界最多」と認められているわけではない。しかし「素晴らしい野球選手」としての評価には変わりないという。
 
【1977年のその他の出来事】
・青酸コーラ無差別殺人事件が発生(1月)
・ジミー・カーター米大統領が就任(1月)
・女性に限定されていた保母の資格が男性も取得可能に(3月)
・カナリア諸島の空港でジャンボ機衝突事故(3月)
・小学館がコロコロコミックを創刊(4月)
・日本が領海を12海里と定める(7月)
・日本初の静止気象衛星「ひまわり」打ち上げ(7月)
・キャンディーズがコンサートで解散宣言(7月)
・中国で文化大革命終結宣言(8月)
・プロ野球・王貞治選手がホームラン世界記録の756号を達成(9月)
・日本航空機がクアラルンプールで墜落、34人死亡(9月)
・天然痘の最後の感染事例(10月)
・横田めぐみさんが新潟市内で北朝鮮工作員に拉致される(11月)
・チャーリー・チャップリンが死去、享年88(12月)
(編集担当:如月隼人)

【関連】

東アジア今日は何の日(一覧)