東アジア今日は何の日:9月11日~日本政府が尖閣諸島3島を国有化(2012年)

 
 
日本政府は2012年9月11日付で、尖閣諸島の魚釣島、北小島、南小島の3島を地権者より20億5000万円で購入した。
 
尖閣諸島は戦後、沖縄の他の島と同様に長期に渡り米国の施政下にあった。尖閣諸島海域は好漁場であるため台湾漁船が同海域に入り、日本側漁民と衝突する事件も発生した。当時の琉球政府には外交交渉権がなく、日本政府も沖縄については介入できなかった。米国を通じての台湾側への抗議となったが、米国も蒋介石政権との関係を配慮して強硬な抗議はしなかったとされる。
 
台湾漁民の乱獲により海鳥も激減した。1970年には台湾当局関係者が魚釣島に上陸し、台湾(中華民国)国旗である青天白日旗を掲揚した。
 
71年2月には、米国在住の台湾人留学生が「尖閣諸島は中華民国領」と主張するデモを行った。中華民国が尖閣諸島を自国領と宣言したのは1971年6月11日、中国(中華人民共和国)が同様の主張をしたのは同年12月30日だった。
 
その後も台湾船や中国船が尖閣諸島周囲の日本の領海に侵入するなどの事件が断続的に続いた。中国人活動家の魚釣島への不法上陸なども発生した。日本政府は2002年4月、埼玉県在住の魚釣島、北小島、南小島の地権者と賃貸契約を結んだ。2010年9月7日には、尖閣諸島付近で日本の海上保安庁巡視船の取り締まりを受けた中国漁船が、巡視船に「体当たり」して逃走を図る事件が発生した。海上保安庁は漁船船長を公務執行妨害の疑いで逮捕した。
 
同事件は、日中間の深刻な外交問題に発展した。中国では反日デモが発生した。旧日本軍の化学兵器処理のための調査を目的に中国に滞在していた日本企業の会社員3人が「軍事施設を無許可で撮影していた」との理由で身柄を拘束される事件も発生した。最も長く身柄を拘束した日本人社員が釈放されるまでの日数は、日本側が中国人船長の身柄を拘束していた日数と同一だった。
 
東京都の石原慎太郎都知事(当時)は2012年4月、訪問先の米ワシントンで、尖閣諸島を買い取ることで地権者と基本的に合意したと発表した。購入目的は島の港湾施設を整備するなどで日本の実効支配を確たるものにすることと説明した。
 
日本政府は尖閣諸島について領有権を主張する一方で、同諸島での施設整備や開発は行っていない。中国側を刺激することを避けるためとされている。石原都知事は、尖閣諸島問題について日本政府の「弱腰」を批判する立場を取り続けている。
 
中国政府は東京都の動きに猛反発した。日本政府(野田内閣)も石原都知事の動きを問題視し、「平穏かつ安定的な維持管理」を目的として尖閣諸島3島を国有地化する方針を固めた。2012年9月3日には地権者と合意し、9月11日には魚釣島、北小島、南小島の3島を20億5000万円で購入し、所有権移転登記も完了した。なお、東京都が購入資金を捻出するために始めた「東京都尖閣諸島寄付金」では、同時点までに約14億7000万円が集まっていた。
 
石原都知事は尖閣諸島で港湾などを整備することを宣言していたが、日本政府は尖閣諸島の扱いについて特に明言していなかった。中国政府を刺激しないために、従来からの「島に手を付けない」状況を継続する考えだったと理解できる。実際、日本政府は現在も、尖閣諸島の整備などを実施していない。
 
しかし、中国側は日本政府の説明に納得せず、猛反発した。中国各地で抗議活動が発生し、日本人への暴行や、日系関連の焦点や工場の破壊・略奪行為も発生した。日本政府としては、尖閣諸島に対する主権の主張に変更はなく、不動産資産として土地の所有者を国に移しただけだが、中国側は「日本が国として、中国の主権を踏みにじる象徴的な挙動」と受け止めた。
 
中国国内での反日運動は徐々に鎮静していったが、中国当局は日本の領海を含む尖閣諸島海域への公船派遣を大幅に増やし、常態化した。
 
中国では尖閣諸島の問題について「台湾との共闘」を提唱する声も発生した。しかし台湾側は、尖閣諸島の領有権を主張しつつも「わが国は平和的な解決を求める」として、中国側の行為は「一方的」と批判して応じる気配を示さなかった。また、中国の尖閣諸島についての主張は「尖閣諸島は台湾の一部である。台湾は中国の一部である。したがって尖閣諸島は中国の一部である」との論理を用いているので、台湾としては中国との共闘には応じられない事情がある。
 
魚釣島は尖閣諸島最大の島で面積3.82平方キロメートル。南小島は4番目の大きさで面積は0.40平方キロメートル、南小島は5番目で面積0.31平方キロメートルだ。
 
尖閣諸島で2番目の大きさの久場島と3番目の大きさの大正島は在日米軍の排他的管理下にある。沖縄の施政権が日本に返還された1972年5月15日に開催された日米合同委員会で、久場島と大正島を爆撃訓練場として米軍に提供することが合意されたからだ。米軍は長期に渡り両島を利用していないが、米軍が排他的管理をしていることは現在も続いている。
 
「尖閣諸島は自国の固有の領土」と主張する中国政府の立場からすれば、久場島と大正島が米軍の爆撃訓練場であることは「自国領内に米軍の軍事施設が存在する」という“由々しき事態”であるはずだが、中国政府が尖閣諸島問題について主張をする際、同問題に言及することはない。
 
pan style="font-size:1.2em;">なお、日本では尖閣諸島の位置関係を示す場合に、尖閣諸島を中心に台湾や沖縄本島、石垣島、中国本土との位置関係を示す図が用いられる場合が多い。一方で中国では自国民向けに、中国領土の大部分を含めた大域的な図が用いられる場合が比較的多い。その場合、視覚的に「尖閣諸島は台湾の一部、つまり中国の一部」との印象がもたらされやすい。多くの中国人が自国の主張を支持し、日本の主張を否定する一因になっているとも考えられる。
 
【2012年のその他の出来事】
・台湾で総統選挙、馬英九氏が再選(1月)
・東京スカイツリーが完成(2月)
・米国国政調査局の推計で世界人口が70億人とっぱ(3月)
・金正恩氏が朝鮮労働党第一書記に就任(4月)
・フランス大統領選でオランド氏が当選(5月)
・エジプトでムバラク前大統領に終身刑判決6月)
・中国初の女性宇宙飛行士搭乗の「神舟9号」打ち上げ(6月)
・ロンドン夏季五輪大会が開催(7~8月)
・ロシアがWTO加盟(8月)
・日本政府が尖閣諸島3島を国有化(9月)
・習近平氏が中国共産党総書記に(11月)
・韓国で大統領選挙、朴槿恵氏が当選(12月)

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