2020年台湾総統選まとめ:蔡英文氏が大票田「市」部で全勝、宋楚瑜候補の凋落

 

2020年1月11日に投票が行われた台湾の総統・副総統選挙では、民進党の蔡英文・頼清徳候補ペアが圧勝した。数字だけを見ると、これまで「第三の男」として立候補を続けていた新民党の宋楚瑜候補が得票を大きく減らし、その分が民進党候補に流れたことになる。しかし実際の構図は、国民党はこれまでの新民党支持票を多く捕り込んだが、それ以上に民進党に票が流れたということだろう。

 

民進党の蔡英文候補が獲得した得票数は810万186票、得票率は57.13%で、いずれも前回2016年総統選の得票数689万4744票、得票率56.12%を上回った。

 

※台湾の中央選挙委員会は日本時間11日午後11時12分までにすべての投票所での投票を集計したと発表した。本記事の投票数及び投票率は同時点での発表にもとづく

 

結果

 

蔡英文 8,170,186票 (57.1%)

韓国瑜 5,522,119票 (38.6%)

宋楚瑜 608,590票 (4.3%)

 

★★地方別の概況(「赤文字」は各地域についての最多得票者)★★

【北部】

大票田が多い台湾北部、国民党支持者が多かったはずだが蔡英文候補がほぼ全面勝利

 

●台北市

蔡英文 875,854票 (53.7%)

韓国瑜 685,830票 (42%)

宋楚瑜 70,769票 (4.3%)

 

●新北市

蔡英文 1,393,936票 (56.5%)

韓国瑜 959,631票 (38.9%)

宋楚瑜 112,620票 (4.6%)

 

●基隆市

蔡英文 114,966票 (50.8%)

韓国瑜 99,360票 (43.9%)

宋楚瑜 11,878票 (5.3%)

 

●桃園市

蔡英文 718,260票 (54.8%)

韓国瑜 529,749票 (40.4%)

宋楚瑜 63,132票 (4.8%)

 

●新竹市

蔡英文 144,274票 (55.3%)

韓国瑜 102,725票 (39.3%)

宋楚瑜 14,103票 (5.4%)

 

●新竹県

蔡英文 152,380票 (46.9%)

韓国瑜 154,224票 (47.4%)

宋楚瑜 18,435票 (5.7%)

 

【中部】

韓瑜候補が制した地域もあるが、有権者数が少ない場合多く大勢への影響は少なかった

 

●台中市

蔡英文 967,304票 (57%)

韓国瑜 646,366票 (38.1%)

宋楚瑜 84,800票 (5%)

 

●苗栗県

蔡英文 147,034票 (45%)

韓国瑜 164,345票 (50.3%)

宋楚瑜 15,222票 (4.7%)

 

●彰化県

蔡英文 436,336票 (57.2%)

韓国瑜 291,835票 (38.2%)

宋楚瑜 35,060票 (4.6%)

 

●南投県

蔡英文 152,046票 (50.8%)

韓国瑜 133,791票 (44.7%)

宋楚瑜 13,315票 (4.5%)

 

●雲林県

蔡英文 246,116票 (61.6%)

韓国瑜 138,341票 (34.6%)

宋楚瑜 15,331票 (3.8%)

 

【南部】

韓国瑜候補は市長を務める高雄市でも大敗

 

●高雄市

蔡英文 1,097,621票 (62.2%)

韓国瑜 610,896票 (34.6%)

宋楚瑜 55,309票 (3.1%)

 

●台南市

蔡英文 786,426票 (67.4%)

韓国瑜 339,702票 (29.1%)

宋楚瑜 41,075票 (3.5%)

 

●嘉義市

蔡英文 99,265票 (61.4%)

韓国瑜 56,269票 (34.8%)

宋楚瑜 6,204票 (3.8%)

 

●嘉義県

蔡英文 197,342票 (64.2%)

韓国瑜 98,810票 (32.2%)

宋楚瑜 11,138票 (3.6%)

 

●屏東県

蔡英文 317,676票 (62.2%)

韓国瑜 179,353票 (35.1%)

宋楚瑜 14,021票 (2.7%

 

【東部/離島】

中部と同様に韓国瑜候補が制した地域も多いが、やはり大票田ではなく挽回の決め手にならず

 

●宜蘭県

蔡英文 173,657票 (63.3%)

韓国瑜 90,010票 (32.8%)

宋楚瑜 10,739票 (3.9%)

 

●花蓮県

蔡英文 66,509票 (35.9%)

韓国瑜 111,834票 (60.4%)

宋楚瑜 6,869票 (3.7%)

 

●台東県

蔡英文 44,092票 (38.1%)

韓国瑜 67,413票 (58.3%)

宋楚瑜 4,163票 (3.6%)

 

●澎湖県

蔡英文 27,410票 (53.8%)

韓国瑜 20,911票 (41.1%)

宋楚瑜 2,583票 (5.1%)

 

●金門県

蔡英文 10,456票 (21.8%)

韓国瑜 35,948票 (74.8%)

宋楚瑜 1,636票 (3.4%)

 

●連江県

蔡英文 1,226票 (19.8%)

韓国瑜 4,776票 (77.2%)

宋楚瑜 188票 (3%)

 

◆解説◆

・新民党の宋楚瑜候補が、前回2016年選挙の得票数157万6861票・得票率12.84%から、今回は得票数60万8590票・得票率4.6%へと得票を大きく落とした。

 

・数字だけ見ると、宋楚瑜候補が逃した票の多くを蔡英文陣営が取り込んだことになる。

 

・しかし、各候補者の立場や主張を考えれば、宋楚瑜候補への支持者が蔡英文支持に鞍替えしたとは考えにくい。つまり、国民党の韓国瑜候補は前回総統選で宋楚瑜候補を支持した有権者の多くを取り込んだが、浮動票を含めそれ以上の票が蔡英文陣営に流れたと見るのが自然。

 

・蔡英文政権は2016年の発足後、支持率の低迷が目立った。野党の国民党への評価というよりも、政権側が実績を出せなかったことが大きな原因だった。つまり、国民党は一時、民進党の「敵失」に助けられた。

 

・民進党への支持が高まった最大の原因は香港問題だったと言える。つまり中国共産党の香港問題に対する対処の仕方だった。この意味で、民進党も「敵失」により支持を高めたと言える。

 

・つまり、台湾でのこのところの「政治地図」は、「敵失」で左右される場合が増えている。台湾の政治風土の成熟という面からは、「微妙」と言わざるをえない。

 

(編集担当:如月隼人)