WHOはダブルスタンダード? 新型肺炎の統計で台湾は「中国の一部」、ジブラルタルは英国と別扱い

世界保健機関(WHO)は1月22日以来毎日、中国国内および新型コロナウイルスの感染発生の状況についてのリポートを発表している。3月6日には、英領ジブラルタルなど特定国の「海外領土」での感染についての情報を追加したが、台湾は当初から「中国の省」の扱いだ(写真はWHOのテドロス・アダノム事務総長)

 

世界保健機関(WHO)の毎日のリポートは、冒頭部分で「ハイライト」として概況を説明し、その右側に「世界」「中国」「中国以外」の感染確認の累計と死者、発生地域についての数字を掲載している。リポートは続けて、詳細な状況を説明し、中国での省別の状況と、世界各地の状況についての一覧表を掲載している。

 

WHOは3月5日発表のリポートまでは、感染が発生した国の数について「76 countries (4 new)<76カ国(新規4カ国)>」と表記していた。しかし同月6日発表のリポートでは、書き方を変更して「85 Countries/territories/ areas (5 new)<85の国/地域/区域(新規5地域)>」とした。

 

また、一覧表では感染が発生した「地域」としてジブラルタル、被占領パレスチナ、サン・マルタン、サン・バルテミーを追加した。

 

上記のジブラルタルは英国の海外領だ。パレスチナについては、日本や米国は国家承認をしていないが、国連加盟国130国以上は承認している。国連加盟国でパレスチナを国家承認していない国は50カ国を切っており、パレスチナを国として認める方が国際社会の潮流とみなせる状況だ。ただし、パレスチナが国土と主張する地域のかなりの部分はイスラエルに占領されているために「被占領パレスチナ」と呼ばれることがある。

 

サン・マルタンはカリブ海のサン・マルタン島の北部地域で、フランスの海外準県だ。サン・バルテミーはやはりカリブ海の島で、島全体がフランスの海外準県だ。

 

上記のうち、ジブラルタルやサン・マルタン、サン・バルテミーを考えてみれば、主権は英国またはフランスに属するとは言っても、本国とは離れ感染症対策に関連する社会状況も異なるので、感染状況について本国とは別に記載することは、理にかなっていると言えるだろう。

 

しかしWHOは、新型コロナウイルスの感染状況の発表で、香港を「Hong kong SAR(香港特別行政区)」、マカオを「Macao SAR(マカオ特別行政区)」、台湾を「Taipei and environs(台北と周辺)」として、中国の「省」と同格に扱っている。香港とマカオは中国の他の地域と社会組織が異なるとはいっても中国の一部であり、中国のその他の省と同格に扱うことについても、理解できる面はある。

 

しかし台湾は、中国とは異なる社会であり、中国とは別に自らの領域を「国」として運営している。中国(中華人民共和国)の実効支配が及んだことがない、ということも事実だ。

 

WHOがジブラルタルなどを「地域」との呼称を適用した上で、本国とは別に扱い、一方では台湾を「中国の一部」として扱うのは、「ダブルスタンダード」と言わざるをえないことになる。(編集担当:如月隼人)