南シナ海・スカボロー礁巡り緊張 米軍は示威飛行、中国は米空母の香港寄港拒否「理由は自分で考えろ」

 フィリピンの西、約200キロメートルの南シナ海上にあるスカボロー礁を巡り、米中の対立がエスカレートした。中国が同岩礁の埋め立てに着手するとの見方が強まったためだ。米軍は同岩礁付近の空域に対地攻撃機などを派遣。一方、中国は米空母艦隊の香港寄港を拒否。新華社は「理由は自らが考えよ」と主張する論説を発表した。

 

 スカボロー礁の中国語名は黄岩島。満潮時に、ごくわずかではあるが水面上に出る部分がある。同岩礁を巡っては、フィリピンと中国の双方が領有権を主張している。

 

 2012年までは、フィリピン側の「漁船取り締まり」が有効だったが、同年4月にフィリピン海軍軍艦と中国の監視船が現場海域でにらみ合う事件が発生してから、中国が実効支配を進めることになった。

 

 フィリピン側は「実力行使」を控え、国際裁判所に同問題を預ける提案をしたが中国側は拒否。フィリピンは13年1月、仲裁裁判所(オランダ・ハーグ)に対して同問題で中国を提訴したが、中国側は国連海洋条約の298条に賦与されている権利として、領土の主権及び海洋権益の問題で、仲裁は受けないとの主張しつづけている。

 

 最近になり緊張が高まったのは、中国がスカボロー礁の埋め立てに着手するとの観測が強まったからだ。中国がスカボロー礁を軍事基地化すれば、フィリピンは相当に深刻な脅威にさらされることになる。

 

 フィリピンは第二次世界大戦後に米国から独立したが、米軍の駐留は続いた。特にスービック海軍基地、クラーク空軍基地は、米国の対アジア戦略にとって重要な拠点だった。しかし冷戦が終結すると、フィリピン側は基地使用期限の延長を拒否。米軍は1992年までに撤退した。

 

 その後、「中国の台頭」とともに、米国・フィリピン両国は改めて米軍のフィリピン展開は有効と認識。クラーク空軍基地跡地は経済特別区になったが、米軍は改めてスービック海軍基地に駐留することになった。

 

 中国によるスカボロー礁埋め立てを許したのでは、フィリピン国内で両国の同盟関係を疑問視する声が高まる可能性がある。また、スービック海軍基地そのものが、脅威にさらされる。

そのため米軍は、中国によるスカボロー礁埋め立てを強く警戒。4月19日には対地攻撃機A-10C4機と戦闘捜索救難ヘリHH-60C2機をスカボロー礁の周辺空域に飛行させた。対地攻撃を意識させる示威飛行だ。

 

 一方の中国は、米軍側からの米空母「ジョン・C・ステニス」を中心とする艦隊の香港寄港申請を4月30日までに拒否した。

 

 これまで米空母が香港に寄港することはそれほど珍しくなかった。一般に、外国の海軍艦隊の受け入れは友好関係が成立しているか、そこまでは行かなくとも、双方に一定の信頼関係が成り立っていることを示す意味がある。米空母の寄港拒否は、中国がスカボロー礁を巡る米軍の動きを、極めて強く嫌悪していることを表す。

 

 新華社は4月30日夜に発表した論説で、「ステニスの香港訪問拒否を、米軍は驚く必要がないだろう」と主張。寄港拒否はステニスが「南シナ海で徴発行為の急先鋒になっていることに対する、些細な懲罰だ」との考えを紹介した。

 

 さらに「米軍は、香港が中国領ということを知らないはずがない。客が来れば主人は、都合がよければ扉を開けて迎え入れる。都合が悪ければ、門を閉ざして断る。客になりたいのなら、まず自分で考えてみよ。主人がなぜ、礼をもって迎え入れるのを嫌がっているかを」と主張した。(編集担当:如月隼人)

 

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参考:・锐评|“斯坦尼斯号”被拒访香港 美军不用惊讶 (中国語)