トラック横転、牛乳散乱 周辺住民大喜び「いただこう、それっ」と殺到 当局表明「これでいいのだ」

 上海市閔行区内で2月28日午前4時ごろ、紙パック入りの牛乳を満載したトラックが横転した。周辺住民が大量に集まり、持参した容器に破損した紙パック入りの牛乳を入れて持ち帰った。

 

 トラック横転でパック入り牛乳が大量に、路上にぶちまけられた。事故の知らせを受けた運送会社はただちに代替えのトラックを派遣し、無傷の商品の回収を行った。

 

 容器が破損して流れ出した牛乳も多く、警察は「自動車がスリップする危険がある」として現場周辺の道路を閉鎖した。そのため大渋滞が発生したという。

 

 道路清掃の作業員も動員されたが、集まった住民が争って牛乳を集めているので「これでは、仕事ができない」と周囲で眺めているしかなかった。午前11時ごろまでには、「使えそうな牛乳」はあらかた持ち去られ、住民らの多くも引き上げたので、改めて清掃作業に着手した。

 

 同件を最初に報じたのは上海メディアの新民報だった。新民報は住民が殺到して牛乳を持ち去った状況を「閧搶(ホンチァン)」と表現した。「閧」は「大勢のひとがどよめく」、「搶」は「奪う」で、群衆による「略奪現象」を表現する際に使われることが多い。

 

 事故が発生した閔行区当局は同日のうちに、複数のSNSを使って「記事は事実と異なる」、「『閧搶』はなかった」と表明した。同表明によると、事故で散乱したパック入り牛乳の多くは、荷主のもとに戻った。数トン分については、容器が破損しており販売できないと荷主と保険会社が確認し、放棄することを決めた。そのため集まった一部の住民が「持ち主のない品」になったことを知ったので集めたのであり、「閧搶」には相当しないとの考えを示した。

 

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◆解説◆
 閔行区当局が「閧搶」ではなかったと強調した理由を考えてみると興味深い。まず中国では、交通事故でトラックの積み荷が路上に散乱した際、周辺住民が殺到して持ち去る事件が連続している。警察を含む当局側、さらにメディアも憂慮しているが、根絶できていない。

 

 中国における行政、あるいは共産党の統治は、「上からの評価」で業績が認められるシステムだ。区の場合、区長や区の共産党委員会責任者は、市政府や市の共産党委員会からの評価により、その後の地位などが決まる。

 

 中国でも“一流都市”である上海市内で、事故車の積み荷を周辺住民が大挙して奪ったとなれば、区の上層部が責任を追及される可能性もある。そのため「違法行為ではなかった」とアピールする必要があったと考えられる。

 

 また、「大部分は持ち主に戻った」、「一部の住民が」、「持ち主のない品になったことを知ったのちに」と強調した点にも「区」ひいては「区の責任者」として面子(メンツ)を保とうとした意思を読み取ることができる。

 

 もちろん、一般市民に対して「今回の事態に違法性はなかった。違法性がある場合には取り締まりの対象になる」ことをアピールする側面もあったと理解できる。(編集担当:如月隼人)

 

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参考:
现场视频|沪龙吴路一送奶车侧翻 盒装牛奶遭哄抢(中国語)(中国語)
上海送奶车侧翻盒装奶遭哄抢? 官方称消息不实(中国語)