台湾のWHO大会出席が決まる 中国政府「1つの中国認めないと、次は難しいぞ」

 世界保健機関(WHO)は6日、陳馮富珍(マーガレット・チャン)事務局長の名義で18日から26日までスイスのジュネーブで開催される世界保健総会(WHA)に、台湾代表を招待することを決めた。中国政府・台湾事務弁公室の馬暁光報道官は同日、台湾代表の招待は大陸側の善意によるものであり、台湾が「1つの中国」の原則を認めねば、今後は難しいと発言した。

 

 WHOは「中華台北(チャイニーズ・タイペイ)」の名義で台湾代表を「オブザーバー」として招待することを決めた。台湾は政府・衛生福利部の蒋丙煌部長(厚生相に相当)らによる代表団を派遣する。

 

 大陸側の馬報道官は6日、台湾代表の国際会議出席ついてまず、「われわれの立場は明確で一貫している。1つの中国との原則の下で、台湾海峡両岸が協議して、感情面にも理屈にも合致する手配をするということだ」と説明した。

 

 台湾が「チャイニーズ・タイペイ」としてWHAへの出席を認められたのは、馬英九政権発足後の2009年からだった。馬報道官は台湾のWTA参加について「(1つの中国を中台双方が認めたとされる)九二共識(92コンセンサス)を双方が堅持したという政治的な基盤の上に築かれた特殊な措置」と主張。

 

 しかし中国大陸側も台湾側も九二共識という「合意があった」とされる1992年には発表せず、文書化されることもなかった。2000年になり国民党が総統選に敗北し、民進党・陳水扁政権が発足する直前に、国民党高官が初めて「九二共識が存在する」と表明するなど、不自然な点が多い。

 

 台湾では、1992年に在任中だった李登輝元総統を含め、「九二共識はそもそも、存在しない」と主張する人も多い。

 

 5月20日に総統に就任する民進党の蔡英文主席はかつて「九二共識は存在しない」と明言していたが、今年(2016年)の総統選の時期以降は、九二共識についての明言を避けている。一方で中国は、蔡英文政権が九二共識を認めるかどうかが、中台関係の維持の最低条件と繰り返し主張している。

 

 馬報道官は6日の発言で、台湾が18日からのWHAに招待されたことは「台湾側が何度も出席したいと希望した。われわれは(台湾側の希望を)重視し、手配した。大陸側が両岸関係の平和的発展を維持していきたいとする誠意と願いを示したものだ。大陸側は善意を示した」と述べた上で「今後、もしも両岸関係の政治的基盤が破壊されれば、このような手配を続けることは難しくなる」と述べた。

 

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◆解説◆
 台湾は、国連や国連関連機関からの「締め出されている」状態だ。しかし2002-03年に発生した重症急性呼吸器症候群(SARS)の流行で、台湾とWHOの接触がない状態は、感染症の流行が発生した場合に、拡大阻止のための作業に支障が出るとの主張が高まった。

 

 中国は台湾の国連復帰に「絶対反対」の立場だが、馬英九政権の発足後に台湾代表がオブザーバーとしてWHAに出席することを容認するようになった。

 

 台湾は李登輝政権時の1993年から「中華民国」名義での国連参加申請を実施した。07年の陳水扁政権時には「台湾」名義での申請に切り替えた。申請は毎年繰り返されて16回に及んだが、馬英九政権は2009年、国連加入申請を見送った。(編集担当:如月隼人)

 

参考:・国台办:台湾方面参与世卫大会是在一个中国原则下作出的安排 (中国語)