中国で「三峡ダム以上」の水力発電計画、環境への影響懸念で見直しのはずが「なし崩しに復活」=怒江

 中国で、雲南省からミャンマーに向かって流れる「怒江」の開発計画が進行している。同計画は三峡ダム以上の電力が得られるとして注目された。環境に深刻な影響を与えるとして2003年に見直されることになったが、実際には復活しているという。中国メディアの華夏時報網が伝えた。

 

怒江は、中国のチベット高原から雲南省を経由してミャンマーに流れ込む。さらにタイ領内を流れ、インド洋に至る。本流の長さは2400キロメートル程度だが、両岸が切り立った崖である個所がほとんどで、経済的な利用は進んでいない。ダムも建設されていない。怒江は中国領内での呼称で、国際的にはサルウィン川として知られている。

 

 一方では豊かな生態環境で知られ、流域には7000種を超える植物と、多くの希少な動物が生息している。中国は金沙江(長江上流部)、瀾滄江(メコン川上流部)、怒江(サルウィン川上流部)を「三江併流」の名でユネスコに世界遺産(自然)の登録を申請し、2003年に認められた。

 

 怒江開発開発計画は2003年に発表された。一連の水力発電ダムの発電能力を合計すると2132年万キロワットで、三峡ダムの発電能力を300万キロワットほど上回る。

 

 ただし一方で、開発により中国国内でも、怒江流域の貴重な生態系が悪影響を受けるとの反対が出た。華夏時報網によると、温家宝首相(当時)は03年に同問題に対して「慎重に研究して、科学的に決定すべきだ」と指示した。事実上の計画見直しだ。

 

 ところが華夏時報網によると、怒江開発計画はその後も、目立たない形で進められていた。すでに各水力発電所建設のための会社が多く設立され、準備作業が始まっていたという。

 

 2012年なると、中国中央政府も怒江開発に関連する文書を通達した。「瀾滄江などの流域の水力発電にかんする通知」などと怒江の名は挙げていないが、実際には怒江開発も含まれていた。

 

 中国政府は「再生可能エネルギー」として水力発電を重視する方針を決めた。2016-20年を期間とする第13期5カ年計画では、怒江沿岸の4カ所について「積極的な水力発電施設の建設を推進」することが盛り込まれていたという。

 

 第13期5カ年計画に盛り込まれたとしても、個別の案件には中央政府の許可が必要だが、関係者からは「もう少しのところまできた」との声も聞かれるという。

 

 華夏時報網は、怒江の開発には、関係各方面の「利益に対する誘惑」が関係していると主張。例えば、2002年時点に怒江流域の地元政府の財政収入は合計で1億500億元しかなかったが、水力発電が完全に実現すれば、27億元が追加されることになるという。

 

 また、全国有数の複数の電力会社などが出資者となり、2003年には怒江の開発会社を発足させている。

 

 小規模な開発はさらに加速している。怒江の66本の巣流には、すでに90カ所の小規模な水力発電所の建設計画があるという。(編集担当:如月隼人)

参考:・搁浅十年未批,开发却一直在进行 怒江水电“复活”背后推手(中国語)


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Posted by 如月隼人