若い女性の遺体を高額で取り引き、病院関係者も関与して高額の“御祝儀”=中国

 中国国営・中国新聞社が発行する「中国新聞周間」は12日、山西省で金銭の授受を伴う女性の遺体、とりわけ若い女性の遺体の取り引きが盛んにおこなわれている実態を紹介した。病院関係者も関与し、多額の“御祝儀”を受け取っているという。

 

 記事は冒頭で、山西省臨汾市洪洞県内の病院で働くある職員にとって「女性の遺体を火葬するのは、とてつもない無駄」にしか思えないと紹介した。

 

 彼が勤務する病院の霊安室に運び込まれる女性の遺体は、そう多くない。「人気」が高いのは若い女性の遺体で「若い娘の容体が悪く、危ないらしい」との噂が出ると、たちまちにして四方八方から「買いたい」との申し出が殺到する。

 

 女性の遺体を求めるのは、若い息子を亡くした両親がほとんどだ。未婚のまま葬るべきでなく、「あの世」での生活のためにも妻を娶らねばならないとの考えがあるためという。

 

 事故で亡くなった女性よりも病死した女性の方が人気が高く、高額で取り引きされる。男性側の遺族が、息子に適しており、「価格」にも納得できる「女性」が見つかるまで、数年間も待つ例が珍しくない。

 

 3年前に息子を亡くしてから女性の遺体を探し続け、4月になり「結婚」させることができたという男性によると、買い取り価格は18万元(約299万円)だったという。写真を見せたところ、生前はとての美しい娘で、息子と同じ歳だったので「似合いの夫婦になるだろう」と満足したという。

 

 「結婚式」では、すでに埋葬していた息子の遺体を掘り出した。すでに白骨化していたが、媒酌人が息子の頭蓋骨の目、耳、鼻、口の部分に白米と小麦粉を詰めた。そうしないと「子孫に恵まれない」という風習によるという。

 

 亡くなった男女を「結婚」させる風習は「冥婚(ミンフン)」と呼ばれる。記事によると、女性の遺体の売買は、単に金銭上の関係に終わるのではない。没後とはいえ2人を結婚させたので、両家が親戚関係を結ぶことになるからだ。どちらかの家が困難に陥った場合には、相手側は親戚として援助することになる。

 

 そのため、重い病気の娘を持つ親が、娘の生前に「亡くなってから、そちらの息子と結婚させる」ことを承諾する場合もあるという。

 

 4月に亡くなった息子を「結婚」させた親も、婚礼の後は両家が親しく付き合っていると説明した。

 

 男性の死因として多いのは、交通事故や炭鉱事故が多いと言う。山西省は石炭産業が盛んだが、条件の悪い炭鉱で働いていて事故などで死亡する若い男性が多い状況がある。

女性の場合には、「若くて美しい」、「病死した直後」、「家庭条件が良い」などが評価の対象になり、価格が数十万元(50万元=831万円)になる場合も珍しくないという。

 

 「若い女性患者が亡くなった」、「亡くなりそうだ」との情報を外部に漏らすのは病院職員だ。話を聞きつけた男性側家族が病院にやってきて「商談」を始める。職員は、成約の場合には2000-3000元、話がつかなかった場合でも500-1000元の“御祝儀”がもらえる。交渉不成立でももらえるのは「次にいい話があったら、ぜひウチに声をかけてください」との意味だ。

 

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◆解説◆
 中国には、ちゃんとした一生を送ってから亡くなった人は子孫を護る霊になるとの発想がある。逆に、恨みや思い残すことがあって亡くなった人は、子孫に災いをなす悪霊になるとの考えもある。この考え自体は、日本人とそう違いはない。

 

 ただ中国の場合には「結婚したかしないか」を極めて重視する点が、日本とやや異なるようだ。そして、「とにかく結婚させねばならない」という発想が「冥婚」という風習を発生させたと考えられる。

 

 上記記事からは、女性の遺体の引き渡しは単なる「売却」に終わらず、親戚関係の構築をもたらしていることが分かる。その意味で、女性の遺族が受け取る金銭は単なる「代金」ではなく、「冥婚にともなう結納金」と解釈することもできる。(編集担当:如月隼人)

 

参考:中国冥婚现象调查 (中国語)


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Posted by 如月隼人