北京の名刹、天寧寺が「違法建築スレスレ」 急増する尼僧、宿舎確保に苦慮

 中国メディアの法制晩報は18日付で「天寧寺がまた違法建築? 許可は得ました」と題する記事を掲載した。背景には仏教信者の急増があり、さらにその背後には急激に変化する社会との矛盾に悩む人の多さがある。

 

 天寧寺の創建は8世紀と考えられている。中でも1109年または20年に建てられた仏塔は、文化財としても極めて貴重だ。中国当局も天寧寺を重視しており、1988年には仏塔を全国重要文物保護単位(重要文化財)に指定した。

 

 同文化財に指定された場合、周囲に建造物を設けることも制限される。景観の保護以外に、火災の延焼を避けるなど、文化財保護の意味がある。ところが天寧寺は2014年、仏塔近くに建物を作ろうとして、処罰の対象になった。罰金30万元を科せられたという。

 

 最近になり、天寧寺がまたも、仏塔の近くに建物を作っていると、一般人から指摘があった。法制晩報が天寧寺に問い合わせたところ、新たな建物は、文化財保護で定められている範囲の外であり、鉄パイプなどを用いた「臨時構築物」であるため、当局の許可も得たという。

 

 天寧寺は、新たな建物は、「尼僧の宿舎が不足しており、解決の必要があった」と説明した。

 

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◆解説◆

 中国では仏教信者や仏門に入ることを希望する人が急増している。中国共産党は宗教について「迷信」との立場だが、強制的に排除するのではなく「国家や社会に害がないかぎり」との条件付けで、共産党員以外には信仰を認めている。

 

 実際には、「害がないかぎり」が拡大解釈されて、特に少数民族の宗教行為が厳しく規制されるなどの問題はあるが、建前上は「共産党員でなければ、宗教を信じることは自由」との立場だ。背景には、「社会が進歩すれば、宗教を信じる者はいなくなる」との、マルクス・レーニン主義政治勢力がしばしば採用する“理論”もある。

 

 しかし現実には、改革開放政策を推進し、経済成長に絡んで社会が大きく変化するとともに、宗教に帰依する人は急増した。

 

 編者は数年前に、四川省西部のチベット民族居住地を訪れ、現地にある仏教寺院や仏教学校を取材した。仏教寺院はもともと、入門した人が裏山に小屋を建てて居住していたが、山全体が入門者の小屋でびっしりと埋まっていた。

 

 寺院の責任者は、「入門者が急増した。女性が圧倒的に多い。社会の変化に耐えられず、心が壊れてしまった人が多いのだろう。女性の方が、影響を強く受けているようだ」と教えてくれた。説法の教室は、例えがよくないかもしれないが、日本の銭湯の脱衣所を大きくしたような作りで、説法僧が「番台」のような座に座る。「番台」の前には仕切りがあり、男女は別れて床に座って、説教を聞き、ノートをとる。

 

 男性用、女性用のスペースは同じ広さだが、男性は説教僧の近くに座り、後ろの3分の2ほどは人がいない状態だったが、女性用スペースは、後ろまでびっしりとつまっていた。目算では、計数百人の信者が出席していた。

 

 記事は天寧寺の状況を伝えていないが、女性入門者が急増したために寺側が宿舎の確保に苦慮していると理解できる。(編集担当:如月隼人)

参考:天宁寺又现违建?已报批


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Posted by 如月隼人