日本の天皇と中国高官、民と接する姿勢はこんなに違う 香港で「比較と非難」

 香港の情報サイト、VIMEDIAは23日、日本の天皇陛下と中国の高官では、民と接する場合には天と地ほどの違いがあると主張する記事を連載した。

 

 中国全国人民代表大会(全人代)の張徳江委員長(国会議長)が17日から19日の日程で香港を訪問した。全人代委員長は、形式的には中国の国家組織の最高権力者だ。実際には国家主席や首相よりも“格落ち”するが、それでも中国の最高指導層のひとりであることに変わりはない。

 

 VIMEDIAは、日本の天皇陛下と張委員長が、地方を訪れた際のふるまいの違いを強調した。

 

 記事はまず、熊本地震の被災地を訪れた天皇陛下が、被災者の前で膝をついて言葉を交わす様子を紹介。同様に安倍首相が正座して、床に手をついて被災者と話す写真も掲載した。その上で日本の天皇には「民が根本との謙虚な心がある」と評した。

 

 一方で、張委員長は、香港で2014年に発生した、対中政策を批判するデモで流血の惨事が発生したことについて、「殺人、流血」と決めつけたと批判した。

 

 同記事は、天皇陛下が熊本に到着した際には「(現地の)官僚が列をなして歓迎することもしなかった。儀仗隊も出なかった。赤い絨毯も用意しなかった。蟻のごとく民が出て、天皇を携帯電話で撮影した。天皇と皇后は笑顔で応対した。これが『親民だ』」と絶賛。

 

 一方で、張委員長が香港を訪問した際には、歓迎式典で兵士が隊列を組み、儀仗隊も繰り出して、赤い絨毯が一面に敷かれたと紹介。さらに、警察官6000人が警護にあたったと紹介した。

 

 さらに、日本の天皇は2011年に東日本大震災の被災地を訪問する際に、自動車の遅れのために、新幹線の発車が2分間遅れ、他の乗客に迷惑をかけたことを、非常に気にされたと紹介。

 

 それに対して張委員長は、繁華街に視察に訪れれば、付近一帯を封鎖して、宿泊するホテルも、関係者以外は締め出す措置を取ったと批判。最も問題だったのは、視察の途中で、自動車を逆走させて目的地に向かったこととして「その晩のレセプションでは、最も重要なのは法治とスピーチした」と指摘した。

 

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◆解説◆
 上記記事は、日本の状況を「持ち上げすぎている」ようにも思えるが、香港人の(全員とは言えないにせよ)大陸に対する強い嫌悪感を示したものであることには間違いない。

 

 日本の権力者(天皇陛下は権力者と言えないが)と一般民衆の関係は歴史的に、中華文明圏とは大きな違いがあった。日本でも織田信長など世界的な意味から評価しても「独裁者」と見なせる権力者が出現したことはあったが、「独裁者らしさ」をむき出しにして権力の座が、安定して長続きした例は、あまり見いだせない。

 

 日本の権力者はむしろ「民と一体」という状況を、あるいは見せかけにせよ構築することで、権力を安泰にしてきたといえる。

 

 その背景には、日本社会の統治原理の本質が「寄り合い」にあったことがあると考えられる。何らかの形で参加者全員の合意を取り付けねば、安定した道は得られないとの発想だ。「どちらの主張が正しいかは別にして、争いがおこること自体がよくないこと」との考え方が関係しているともいえる。

 

 対して中国では、かなり徹底した「トップ・ダウン」の発想が強かった。権力の座にいるかぎり、その威光を強調せねば、権力の座にはとどまれないとの事情があった。

 

 中華人民共和国成立以来、権力の地位に就いた上層部は、建て前である「人民のために奉仕」と、威光の演出のバランスをとることに腐心した。現在の中国上層部は、バランス取りの技術が稚拙になってきたようにも思える。(編集担当:如月隼人)

 

参考:・ 日皇明仁與張德江給香港人上的五堂課(中国語)


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Posted by 如月隼人