中国軍人5人が死傷 アフリカ・マリでPKO部隊が襲撃される 日本も「対岸の火事」とは言えない

 国連平和維持活動に従事するために、アフリカ西部の内陸国、マリに派遣された中国軍の宿営地に現地時間5月31日夜(日本時間6月1日午前5時50分ごろ)、ミサイルが撃ち込まれた。この襲撃で中国軍人1人が死亡、4人が負傷した。

 

 マリ北部では2012年、中央政府からの独立を求めるトゥアレグ族が武装蜂起し、一帯を制圧。その後、イスラム過激派勢力がトゥアレグ族の支配地域を奪い取など、極めて危険な情勢になった。そのため国連は13年4月に、「マリ多元統合安定化ミッション」の名義による、平和維持活動(PKO)を開始した。

 

 中国は同年12月に先遣隊135人を派遣して以来、現地でのPKO活動に参加している。主に、道路や橋、飛行場の滑走路の設営や補修、現地司令部の警備、傷病者の治療や後送、衛生防疫などの任務を担当している。

 

 マリ北部のガオ市にあるPKO部隊駐屯地に、ミサイルが撃ち込まれた。ミサイルは、宿舎として利用しているコンテナに着弾したという。この襲撃で中国人の29歳男性軍人が死亡した。さらに4人が負傷し、うち1人は重傷という。

 

 マリでは同日、別のPKOの地雷撤去拠点も襲撃された。同襲撃ではマリ人の警備員2人と、外国人専門家1人が死亡した。

 

 

 PKO襲撃について、マリ国内のアルカイダ系組織が犯行を宣言した。

 

 中国政府・外交部は自国軍人に死傷者が出たことを「国連のPKOスタッフに対するテロ襲撃であり、極めて重い罪であり容認できない」として強く非難した。マリ政府や国連と調査を進め、加害者に法的責任を取らせる考えという。

 

 中国外交部によると、中国は現在、マリ、コンゴ(キンシャサ)、リビアなどアフリカの7カ所で、PKO活動に従事している。

 

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◆解説◆

 上記犯行に対する中国政府の怒りは、もっともだろう。中国政府は海外において軍人や公務員も含めて自国民が不当に危害を加えられたり、危害に遭遇する危険が迫った場合には、迅速かつ本格的な「保護作戦」を実施してきた。

 

 1例を示すならば、2011年にリビアで内戦が本格化した際には、現地在住の中国人引き上げのために、自国国空会社に旅客機を派遣させ、地中海航路では自国軍艦とチャーターした民間船を動員、さらに、トラック隊を組織して、陸・海・空のすべてのルートを用いて、自国民の引き上げを完了させた。

 

 PKOへの部隊派遣については、本来ならば犠牲者を出してはならないのだが、現実問題として「軍事力を投入せねば平和の維持と回復が困難」な状況に対応する活動だけに、危険はともなうと考えねばならないだろう。

 

 翻って考えれば、日本のPKO部隊の「危機管理の水準」はどうなのか。週刊朝日は6月1日発売号で、「防衛省・自衛隊の第一線救護における適格な救命に関する検討会」の座長を務める佐々木勝内閣官房参与が著した文章を掲載した。

 

 佐々木参与は、自衛隊は1度も戦争をしてこなかったという「誇るべき」歴史を持つ一方で、「戦傷医学」という分野がおろそかになったと指摘。同検討会でも、銃や爆弾で負傷するという異常事態を前提にせねばならないはずなのに、現場における自衛隊の衛生科隊員の権限拡大について「医師の権限が侵される」として反対する医院がいると批判。

 

 さらに「戦傷医学」の水準向上のためには、制度面での制約が多すぎるだけでなく、自衛隊側の現状認識も甘すぎるとして「自衛隊の危機管理意識そのものが問われる」と論じた。(編集担当:如月隼人)

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参考:・驻马里维和营地遭袭 中国维和人员1死4伤(中国語)